絵画観察を通して学んだ視点

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WETCHではデザイナー間で”絵画観察トレーニング”なるものをミーティング時に行っています。
なぜそのような取り組みが始まったのか?それには、下記のような目的があります。

(1)資料や指示では見えない部分を認識したり、想像したりできるようにするため
→限られたデータから、仮説を立てて決断できるようになる
(3)全体図を理解し、関連のなさそうに見えるものでも、「関連づけができる」と発見できるようになるため
→今までの常識を覆す、イノベーション的な発見をしやすくするため
(2)アイディアを生み出す力をつけるため
→自分オリジナルの考えを見つけ出せるようになる

実際、絵画観察で観察力を鍛えることを勧めた書籍も発売されています。

参考:観察力を磨く 名画読解
www.amazon.co.jp/dp/415209642X

そんな絵画観察トレーニングですが、実際やってみると様々な学びがありました。
一人でじっくり観察するだけでも、いろいろ考えることがあって面白いです。

また、観察した結果を人と共有することで、自分では見つけられなかった新しい視点や、
考察共有することができて、とても勉強になっています。

今回は、そんな絵画観察で学んだ
デザインに活かせるポイントなどを紹介していきたいと思います。


ポイント1

・色のバランスについて様々な発見がある
多くの絵画には色が使われていますよね。一枚絵というのは、それぞれの明暗や色彩のバランスでだいぶ印象が違ってきます。ベースカラーアクセントカラーなど、デザインでよく使われる概念は、勿論絵画にも適用されています。じっくり昔の絵画を観察してみると、それらの要素がどのように配置されているか、明度、彩度のバランスでどのような効果がでいてるのかがはっきりわかります。この背景に対し、この色を使うとこんな効果がでるのか!といった発見や、思わぬところに色の反復が使われていて、昔の人の色彩技術に驚いたりもします。そういった発見がデザインにも生かせるので、オススメです。

ポイント2

・構図について考える癖がつく
絵画には三分割構図や対比構図など、現代でも使われている様々な構図効果が応用されています。
しかし構図効果だけを知っていても、いざ応用しようとなるとなんだかしっくり要素をはめ込むことができない、なんてことがあります。
それは構図の引き出す効果を十分に理解していないせいだったり、配置の王道がわかってなかったりという原因があります。
絵画観察を通して、自分の目で絵の中の構図効果を見つけ出すことで、どのような配置が多いのか、といった基本の要素の置き方や、構図の引き出している効果の本質を理解できるようになり、構図について考える癖がつきます。
すると、アウトプットもスムーズに行いやすくなり、自分の構成力のアップを実感できます。

ポイント3

・想像力、分析力が上がる
絵画には何かしらテーマを持って作者がモチーフを描いていることが多いです。
作者が伝えたいことなんなのか、何を表現しようと絵画を描いたのか。
モチーフから伝わってきた要素や感情から、自分でその絵画のテーマを想像することによって
自分で思考する力がつきます。また、自分で考えた後に解説を見ることで、これはこう思っていたけれど、こういう解釈だったのか、と新たな発見もできます。自分のイメージと実際作者が投影したイメージとの違いを認識することで、感性の違いや他の視点に気づくことができるので、客観的な視点を鍛えることができます。

ポイント4

・なぜ、どうしてか、を言語化しやすくなる
まず絵画を観察し、一番最初に目が引かれた場所、強調されているポイントなどに対し、なぜそこに注目してしまったのかを考えてみると、それは構図のせいだった、なんてことが結構ありました。そういった、「なぜ」に着目することによって、論理的に強調要素や視線誘導の理由を考察する力が身につきます。すると、例えばどうして自分がこのようなデザインにしたのか、その理由を感覚だけでなく、言語で説明しやすくなるので、ディレクターさんや顧客とやりとりするときデザインの目的や理由が伝えやすくなると思います。


このように、絵画観察には様々なメリットがあります。


とはいえ、一概に観察をしてみろと言われても、どのように見ていけば良いのか…最初は迷ってしまいますよね。
そのため、WETCHでは下記のような段階で観察を行なっています。

・基本要素の把握
構図・色彩・モチーフなどの絵画を構成する要素を把握します。

・フォーカルポイントの選択
見ている絵画で自分が最も注目した箇所、もしくは一番の訴求ポイントと思われる箇所を探して注意深く観察します。

・残りを部分に分け、それぞれの詳細を観察する
フォーカルポイント以外の基本要素に着目し、細かなモチーフを観察して特徴や絵画上の役割、描かれている意味について考察していきます。

・一歩下がって全体図を眺めて解釈
今まで観察した情報を統合しながら全体を見つめ直し、絵画の意味について解釈を深めます。

・周縁部を確認し、再解釈を検討する
見逃している点はないか細かい点を確認し、もし何か違う視点に気づいたら
それを踏まえて最終的な絵画に対する自分の考察をまとめます。

時間としては、最近では1.0~2.5時間ぐらいを目安に進めています。
慣れないうちや、じっくり観察をすると2~3時間ぐらいすぐに吹っ飛んでしまいます(汗)

また、感じたことを言語化しようとすると
なんと表せばいいかよくわからず言葉としてまとめるのに時間が結構かかったりもします…。
でも、それも感覚を文章化する練習になるので観察力+文章力を同時に磨けておすすめです!

時間制限を設けてピンポイントで感じたことを記していくのも一つの手ですが、
最初のうちはゆっくり時間をかけて観察してみることをお勧めします。
時間のあるときに是非挑戦してみてください

現代社会は情報が溢れているぶん、一つ一つの要素を吟味する時間を短くしがちですよね。
だからこそ、じっくり何かを観察する、と言う機会を作ることで、今まで見逃していた新しい視点や発見を得ることに繋げられるな、ということを絵画観察を通して実感しました。

これからも観察力を強化して、より良いクリエイティブを生み出せるよう視野を広げていきたいなと思います。