Suno×Warner、Udio×UMGの提携で激変するAI作曲――Google Lyria 3・Stable Audio 3.0とSony訴訟の行方

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AI作曲サービスをめぐる状況が、ここ半年ほどで大きく動いている。RIAA(全米レコード協会)が主要レーベルを代表してSunoとUdioを著作権侵害で提訴してから約2年、Warner MusicとUniversal Music Group(UMG)は相次いで和解・提携に転じたが、Sony Musicだけは今も法廷闘争を続けており、今夏には業界全体の先例となりうる判断が下される見通しだ。同時にGoogleやStability AIも新モデルを投入しており、「学習データの権利処理」が競争軸そのものになりつつある。今週は、この勢力図の変化と、実際に使えるツールの現状を整理する。

AI作曲サービスのイメージイラスト

Suno――Warner Musicと提携、評価額は5,400億円規模に

Sunoは2025年11月、Warner Music Group(WMG)との訴訟を和解し、WMGの楽曲カタログをライセンスした次世代モデルを共同開発するパートナーシップを発表した。アーティストの氏名・肖像・声・楽曲を新曲生成に使う際は本人のオプトインと対価還元を前提とする方針で、あわせてライブ音楽情報サービス「Songkick」もWMGから買収している。この提携発表の直後、Sunoは4億ドルのシリーズDを54億ドル評価額で調達したと報じられており、7カ月前の評価額から倍増した計算になる。

製品面では現在最新モデルv5.5が主力で、テキストからボーカル入り楽曲をワンショットで生成できる。ただし商用利用権が付くのはPro(月10ドル)・Premier(月30ドル)の有料プランで生成した楽曲のみで、無料プランの生成物は個人・非商用利用に限られる点は要注意だ。

Udio――UMG・Warner双方と和解、2026年内に新プラットフォーム

Udioは2025年10月にUMGと戦略的合意を結び、著作権訴訟を和解すると同時に、UMGの楽曲をライセンスした新しい音楽制作・視聴プラットフォームを2026年中に立ち上げると発表した。同年11月にはWarner Musicとも和解・提携し、共同プラットフォームの計画を明らかにしている。新プラットフォームは参加を選んだアーティストの楽曲に限り、ユーザーがリミックスやマッシュアップを行える設計になる見込みで、「学習データを許諾済みにする」という方向性がSuno・Udioに共通する新しい業界標準になりつつある。

Google Lyria 3 / Flow Music――Gemini上で無料に使える最長3分の作曲

GoogleはLyria 3を最新の音楽生成モデルとして展開しており、Geminiアプリ上でベータ提供されているほか、専用サイト「Google Flow Music」でも利用できる。テキストや画像から曲を生成でき、ボーカルスタイルや音響の方向性を細かく指定可能。最大3分までの楽曲生成に対応し、セクション単位の編集や、動画生成モデルVeoと組み合わせたミュージックビデオ制作もできる。生成物にはAI生成の透かし技術「SynthID」が組み込まれ、後から真贋を確認できる仕組みも用意されている。

Stable Audio 3.0――ライセンス済みデータで学習したオープンウェイトモデル

Stability AIはStable Audio 3.0を公開した。small/medium/largeの3サイズ展開で、mediumモデルは最長6分20秒程度の楽曲・効果音を生成できる。特徴は「フルライセンス済みデータのみで学習した」ことを明言している点と、多くのモデルをオープンウェイトとして公開している点で、小型モデルはCPUでも動作するため、ComfyUIなどのローカル制作環境に組み込む動きも早い。SunoやUdioのような「サービスとして使う」タイプとは異なり、開発者やスタジオが自前のワークフローに組み込む用途に向く。

権利面の焦点――Sonyだけ和解せず、今夏に司法判断へ

RIAAが2024年6月にUMG・Sony Music・Warner Musicを代表してSuno・Udioを提訴した一連の訴訟は、現在レーベルごとに異なる道をたどっている。WarnerはSuno・Udioの双方と和解して提携に転じ、UMGはUdioとのみ和解した一方でSunoとは係争が続く。そしてSony Musicはどちらとも和解しておらず、Suno・Udio双方への訴訟でフェアユース(公正利用)の主張が今夏にも判断される見通しだ。この判断は、無許諾の楽曲データで学習したAIモデルの適法性そのものに関わる先例になりうるとみられており、業界の今後のライセンス交渉のあり方を左右する可能性がある。

比較表:主要AI作曲サービス

サービス 最大長さ ボーカル生成 学習データの権利処理 料金の目安 特徴
Suno 数分程度(v5.5) 対応 Warnerとライセンス提携、UMG・Sonyとは係争継続 無料/Pro月10ドル/Premier月30ドル 有料プランのみ商用利用権あり
Udio 数分程度 対応 UMG・Warnerとライセンス提携、Sonyとは係争継続 無料プランあり(要確認) 2026年に許諾楽曲ベースの新プラットフォーム予定
Google Lyria 3 / Flow Music 最大3分 対応(多言語) Google/YouTube保有・許諾素材 Geminiアプリ上で無料(ベータ) SynthID透かし、Veo連携で動画化も可能
Stable Audio 3.0 最大約6分20秒 限定的 フルライセンス済みデータのみ オープンウェイト(無料)+商用プランあり CPU動作の軽量モデルも提供、開発者向け

まとめ:今、AI作曲ツールをどう使うべきか

  • 商用利用(配信・案件納品など)を考えるなら、無料プランの生成物は使わず、各サービスの有料プラン・利用規約で商用利用が明記された生成物だけを使う。
  • SunoやUdioは大手レーベルとの提携が進む一方、係争が残るレーベルの楽曲・アーティスト名を指定したような生成は避けるのが無難。
  • 学習データの由来を重視するなら、フルライセンス済みデータで学習を明言しているStable Audio 3.0や、GoogleのLyria系サービスも選択肢になる。
  • 今夏に見込まれるSony訴訟の判断は、AI作曲サービス全体の利用規約や提供体制に影響しうるため、続報を追っておきたい。

主な情報源

音声クローン等は本人の同意と各サービス規約の遵守が前提です。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人が行っています。