「ネガティブプロンプト」と「強調構文」の使い分け完全ガイド――Midjourney・Ideogram・Kling・Nano Banana Proで書き方はこう変わる

プロンプトの書き方 のアイキャッチ

「ネガティブプロンプト」と「強調構文」は、画像・動画生成AIの中でもっとも誤解されやすい書き方かもしれない。Stable Diffusion系の作法だった (word:1.3) や --no をどのツールにも同じように書いてしまい、記号がそのまま画像に写り込んだり、意図と逆の結果になったりした経験がある人は多いはずだ。今日は、Midjourney・Ideogram・Kling・Nano Banana Pro・GPT Imageという代表的な5つのツールを例に、「除外したいものの書き方」と「強調したい語の書き方」がどう違うのかを整理し、そのまま試せるオリジナルの作例プロンプトを紹介する。

画像・動画生成AIのプロンプトをイメージしたイラスト

なぜツールによって「効き方」がまるで違うのか

拡散モデル(Stable Diffusion系やMidjourney)は、生成の各ステップで「欲しい方向」と「避けたい方向」を数値的に引き算する仕組み(Classifier-Free Guidance)を持つため、ネガティブプロンプトや語の重み付けがそのまま計算に反映されやすい。一方、Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)やGPT ImageのようにLLMが自然言語プロンプトを解釈してから絵を組み立てるタイプのモデルは、専用のネガティブプロンプト欄を持たず、「〜ではない」という否定文自体を認識してしまうことがある。つまり同じ「除外したい」という意図でも、モデルの成り立ちによって書き方をまるごと変える必要がある。

対応表:ネガティブプロンプトは効くか

ツール ネガティブプロンプト 書き方 備考
Midjourney 対応 --no 語, 語 内部的には多重プロンプトの重み -0.5 と同等の扱い(公式ドキュメント)
Ideogram 対応 専用の「Negative prompt」入力欄 本文プロンプトとは別枠で除外語を指定(公式ドキュメント)
Kling 対応 API の negative_prompt パラメータ prompt・negative_promptともに2500文字が上限(公式APIアップデート情報)
Nano Banana Pro / Gemini 非対応 ー 公式ガイドは終始「欲しい要素を具体的に書く」ことのみを推奨し、除外指定の仕組みには触れていない
GPT Image(gpt-image-1/2) 非対応 ー OpenAIのプロンプトガイドも同様に、具体的で肯定的な描写を積み重ねる書き方を推奨

作例1:Midjourneyの–noと多重プロンプト重み

①狙い:朝の光が差し込むカフェの一杯の写真風カットを、余計な小物や文字なしで生成する。

editorial photograph of a single ceramic latte cup on a worn wooden counter, soft morning window light from the left, gentle steam rising, shallow depth of field, warm film color grading --no spoon, sugar cubes, text, watermark, plate --ar 4:5 --stylize 200

③解説:--noの後にカンマ区切りで並べた語(スプーンや文字など)が引き算的に除外される。写真の主役(カップ)はプロンプト前方に置き、光の描写(morning window light)を続けることで、Midjourneyが重視しやすい「主題→状況→スタイル」の順序を保っている。--stylize 200は装飾性を抑えめにし、写真としての実直さを優先させるための数値。

強調したい場合は、多重プロンプトの重み構文 :: が使える。

steaming ceramic latte cup::3 rustic wooden counter::1 morning window light::1.5 --no spoon, sugar cubes --ar 4:5

③解説:::で区切った各要素に数値を付けると、その語の相対的な重要度が上がる。latte cup::3のように大きい数値を主役に割り振ることで、背景要素(counter)に画面を持っていかれるのを防ぐ。マイナス値を使えば--noと同様に除外方向へ働かせることもできる(Multi-Prompts & Weightsの詳細)。

作例2:Ideogramの専用ネガティブプロンプト欄

①狙い:小さな焙煎所のフラットデザインポスターを、写真調にならず文字も崩さずに作る。

flat vector poster for a small coffee roastery, bold geometric shapes, warm terracotta and cream color palette, the headline 'ROASTERY' in a rounded sans-serif font centered at the top, minimal line-art coffee bean icon below the text

Negative prompt欄:

photorealistic, gradient shading, drop shadow, cursive font, extra text, noisy texture

③解説:Ideogramは文字組みが強みのモデルなので、本文側では見出し語を単一引用符で明示し、崩れやすい要素(写真調・グラデーション・筆記体)はあえて本文に書かず、専用のNegative prompt欄に隔離する。本文と除外語を分けることで、どちらのフィールドも短く明確に保てるのがこのツールの利点だ。

作例3:Kling(動画)でnegative_promptを使う

①狙い:雨上がりの路地を流れる紙の船を、ブレやノイズなく安定したカメラワークで見せる6秒カット。

prompt: A small paper boat drifts down a rain-soaked city gutter at night, neon sign reflections rippling across the water surface, camera tracks alongside at street level in a slow lateral dolly, cinematic lighting, shallow depth of field, 6 seconds

negative_prompt: blurry, warped proportions, extra boats, sudden camera shake, text, watermark, low resolution

③解説:動画生成では静止画以上にノイズや不安定なカメラワークが目立つため、negative_promptに「blurry」「camera shake」のような画質・安定性のキーワードを入れておくと破綻を抑えやすい。prompt側はKlingが推奨する「主体+動き+場面+(カメラ・光・雰囲気)」という語順に沿って組み立てている。

作例4:Nano Banana Pro・GPT Imageは「引き算」ではなく「足し算」で書く

①狙い:散らからないミニマルなリビングの写真を作りたい場合の、ありがちな失敗と修正例。

失敗しがちな書き方(否定文をそのまま使う):

a minimalist living room, no clutter, not cartoonish, without bright colors

推奨される書き方(欲しい要素だけを肯定文で描写):

a minimalist living room with a single low-profile sofa and one potted fig tree, muted beige and warm grey color palette, soft diffused daylight from a large window, uncluttered wooden floor, photorealistic interior photography, wide shot, 16:9

③解説:「no clutter」のような否定語は、モデルによっては単語そのもの(clutterやcartoon)を画面に呼び込んでしまうことがある。Nano Banana Proの公式ガイドが繰り返し勧めているのは、主題・構図・場所・スタイルを具体的な肯定文で積み重ねる書き方であり、除外したい要素があるなら「その代わりに何を置くか」を明記するのが安全策になる。

強調構文の比較

ツール 強調の書き方 備考
Midjourney 語順を先頭に置く/::重み(例 red dress::2 city street::1) 数値が大きいほど強く反映される
Stable Diffusion系UI(多くのFlux/SDXL派生ワークフローが踏襲) (word)で約1.1倍、(word:1.5)で倍率を明示、[word]で減衰 Web UIやComfyUI由来の記法。Midjourney・Nano Banana Proではこの記号がそのまま文字として読まれてしまう
Ideogram 強調したい語を主語・見出し位置に前置 数値的な重み構文は持たず、語順と具体性で制御する
Nano Banana Pro / GPT Image 語順・反復、「most important detail is」のような明示的な言い回し 数値の重み構文は非対応。自然文としての描写力に依存する

ここで重要なのは、Stable Diffusion系の括弧記法はあくまでそのエコシステム内のローカルルールだという点だ。Midjourneyの::やIdeogramの語順ルールと混同すると、括弧そのものが画像内テキストとして描かれてしまう事故につながる。ツールを乗り換えるたびに、強調は「記号」で行うのか「語順・文章」で行うのかを最初に確認したい。

まとめ

ネガティブプロンプトと強調構文は、モデルの内部構造(拡散モデルか、LLM経由の自然言語解釈か)によって書き方の正解が変わる。拡散モデル系(Midjourney・Ideogram・Kling)では専用の除外欄や記号による重み付けが機能するが、LLMベースの画像モデル(Nano Banana Pro・GPT Image)では否定文を避け、欲しい要素を肯定文で具体的に積み上げる方が安定する。新しいツールを触るときは、まず「このモデルは何を引き算できて、何を足し算で書くべきか」を確認してから作例づくりに入るとよい。


主な情報源

サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のものです。収集・要約はAI、公開判断は人が行っています。