Suno・UdioがレーベルとAI音楽を作れる場所へ――2026年夏、音楽生成AIの現在地

音楽生成AI のアイキャッチ

2024年に主要レーベル3社(Universal・Warner・Sony)から一斉に提訴されたSunoとUdioは、2025年秋から冬にかけてWarnerおよびUniversal Music Group(UMG)と相次いで和解・提携し、「ライセンス済みデータで学習した合法プラットフォーム」への移行を進めている。同時にGoogleのLyriaやElevenLabs Musicのように「最初からライセンス契約ありで商用利用を前提にする」勢も存在感を増している。今週は、この2026年夏時点の音楽生成AIの勢力図と、実際に使う上での料金・権利のポイントを整理する。

音楽生成AIのイメージイラスト

Suno:レーベルとの和解で「合法化」、その裏でダウンロード制限も

Sunoは2025年11月、Warner Music Groupと訴訟を和解するとともに、Warnerの楽曲カタログを今後のAIモデルの学習データとしてライセンスする提携を発表した。あわせてWarner傘下のライブ音楽・コンサート発見プラットフォーム「Songkick」も取得している。UMGとの訴訟は継続中だが、Sony Musicとはすでに和解済みだ。

ユーザー向けには、無断の大量エクスポート(mass export)対策として無料・有料プラン双方にダウンロード数の上限を新設したことも明らかにしている(Variety)。最新モデルはv5.5で、有料プランでは最大12種類のステム分離(ボーカル・ドラム・ベースなど)やタイムライン編集環境「Suno Studio」が使える。

プラン 料金(月額・年払い時) クレジット/月 商用利用 主な機能
Free $0 50/日(約10曲/日) 不可(Sunoが権利保有) v4.5のみ、共有キュー
Pro $8 2,500 可(新規作成分) v5.5、優先キュー、ステム分離2種
Premier $24 10,000 可(新規作成分) Suno Studio、ステム分離3種

詳細はSuno公式の料金ページを参照。無料プランで作った曲は後から有料プランへ切り替えても遡って商用利用権が付与されない点は要注意だ。

Udio:UMGと「合法プラットフォーム」を共同構築、段階的ローンチ中

Udioは2025年10月末、UMGと著作権訴訟の和解と同時に、正規ライセンス音源のみで学習した新しい音楽生成プラットフォームを2026年に共同で立ち上げると発表した(UMG公式発表)。この新プラットフォームでは生成した楽曲を「カスタマイズ・ストリーミング・共有」できる有料サブスクリプション型サービスになる予定で、2026年前半から段階的に展開されている。Sony Musicは現時点でUdio・Sunoいずれとも和解しておらず、訴訟を継続している。

ユーザー視点では、旧プラットフォームでのダウンロードは制限が続いており、新しい合法プラットフォームへの移行が進む過程にある。楽曲の作り方自体(テキストプロンプトからのボーカル入り曲生成)はSunoと大きくは変わらないが、レーベル公式ライセンスの下で運営される点が最大の違いだ。

Google LyriaとElevenLabs Music:最初からライセンス契約ありの選択肢

訴訟・和解で揉めるSuno・Udioとは対照的に、GoogleのLyria(現行版はLyria 3.5)やElevenLabs Musicは、開発者向けAPIとして「商用利用前提」で提供されている。Lyria 3.5は英語・日本語・韓国語など8言語での複数ボーカル生成に対応し、Google Cloud(Vertex AI)経由でテキストから楽曲を生成できる。

ElevenLabs MusicはMerlinやKobaltとのライセンス契約に基づき学習されており、生成した楽曲はセルフサーブプランでも商用利用が可能(映像・テレビ・スタジオゲーム向けはEnterpriseのみ)。2026年5月のMusic v2ではジャンル遷移や部分的な差し替え編集(inpainting)が追加され、直近では既存曲の雰囲気を再現するReferences機能も公開された。アップロードした参照曲は生成前に既存アーティストの権利侵害チェックが入る仕組みだ。

主要サービス比較

サービス 学習データ API提供 商用利用 入口料金
Suno Warner等と和解・一部ライセンス化 非公開 有料プランのみ $8/月〜
Udio UMGと和解・新プラットフォームはライセンス済み 非公開 新プラットフォーム移行中 未確定
Google Lyria 3.5 Google内製 Vertex AI経由で提供 可(利用規約に準拠) API従量課金
ElevenLabs Music Merlin/Kobaltとライセンス契約 ElevenAPIで提供 セルフサーブでも可(一部除外あり) 従量課金/サブスク

使う側として押さえておきたいこと

  • 無料プランで作った楽曲は多くのサービスで商用利用不可。動画のBGMや配信で使うなら、有料プランかライセンス明記済みのAPI(Lyria・ElevenLabs Musicなど)を選ぶ。
  • Suno・Udioとも大量エクスポートや無断アップロードへの対策が強化されており、ダウンロード数に上限がある場合がある。
  • 特定アーティストの声や作風を模したプロンプトは、レーベルとの和解条件やプラットフォームの規約で制限される方向にある。参照曲アップロード型の機能(ElevenLabsのReferencesなど)は原則「自分で作った音源」向け。
  • 効果音・環境音づくりも音楽生成AIの延長として広がっている。ElevenLabsのSound Effects APIのように、動画・ゲーム向けの短尺SEを個別生成できるサービスも実務で使いやすい。

主な情報源

音声クローン等は本人の同意と各サービス規約の遵守が前提です。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。