画像・動画生成プロンプトの「型」講座、今回は一歩踏み込んで「構図・色・質感」の指定テクニックと、「強調」「除外(ネガティブ)」の書き方がモデルごとにまったく違うという実務上ハマりやすいポイントを整理する。同じ発想のプロンプトでも、MidjourneyとFLUXでは「効かせ方」の文法が異なる。使うモデルの流儀を知らないまま書くと、狙った通りに強弱がつかない。

構図を型で書く——カメラの言葉に翻訳する
「構図」は被写体の次に効くパラメータで、ショットの種類・カメラの高さ・画面内の位置を言葉にすると狙った画作りに近づく。Midjourneyの公式ドキュメントが示す重み付け構文と組み合わせると、構図と被写体の優先度を同時にコントロールできる。
An elderly ceramic artist glazing a bowl in a sunlit workshop,
low-angle shot from workbench height, rule-of-thirds composition
with the potter's wheel placed off-center,
wide-angle 24mm lens perspective,
soft window light raking from camera left,
warm terracotta and clay color palette,
shallow depth of field, documentary photography style
--ar 3:2 --style raw --v 6.1
効いている要素の分解: 「low-angle shot from workbench height」でカメラの高さを固定し、「rule-of-thirds composition」で被写体の画面内位置を誘導している。「24mm lens perspective」はレンズの焦点距離を言葉で指定することで画角の歪み方まで揃える指定。最後の「shallow depth of field」は背景のボケ量を制御する語で、構図の主役を際立たせる役割を持つ。
色を型で書く——言葉よりhexが強いモデルもある
「暖色系」「深緑」のような言葉だけの色指定は、モデルによって解釈の幅が大きい。Ideogramの公式ガイドは、色の再現精度を求める場面ではhexコードをcolor_palette配列で渡す構造化プロンプトを推奨している。ロゴや素材のように色が成果物の品質を左右する用途で特に有効。
{
"subject": "a minimalist mountain peak icon inside a circular badge",
"style": "flat vector, geometric, clean line art",
"color_palette": ["#1B4B43", "#F2E9DC", "#C97B4A"],
"background": "solid #F2E9DC",
"composition": "centered, symmetrical, generous padding"
}
効いている要素の分解: 色を自然言語(「深緑」「クリーム色」)ではなくhexで渡すことで、同じ配色を複数カットで再現しやすくなる。「composition: centered, symmetrical」は色とは別軸の指定だが、色数を絞ったデザインほど配置のブレが目立つため併記している。JSON形式で要素ごとに分けて書くのは、色・被写体・背景が互いに干渉して解釈されるのを防ぐための工夫。
質感を型で書く——素材感は動詞と光の反射で伝わる
Black Forest Labsの公式プロンプトガイドによれば、FLUX.2はネガティブプロンプトも重み構文(SDの括弧記法)も基本的に効かない設計で、代わりに自然な散文でどこに注意を向けるかを書く。質感の指定はこの「自然文で誘導する」書き方と相性がよい。
A close-up of a hand-stitched leather journal cover resting on a linen tablecloth,
with emphasis on the leather's cracked patina and visible needle stitches,
a brushed matte finish with faint wax sheen catching soft north-facing window light,
the linen's woven fiber texture softly out of focus behind it,
sharp focus throughout on the leather grain, shot on a macro lens,
warm afternoon color temperature
効いている要素の分解: 「cracked patina」「visible needle stitches」のように素材の劣化・加工の痕跡を具体名詞で描くと質感が一気に解像度を持つ。「with emphasis on」はFLUXが重み構文の代わりに推奨する自然文の強調表現で、括弧や数値を使わずに優先度を伝える。「faint wax sheen catching soft window light」は質感を光の反射として描写する手法で、素材感は色そのものより光の当たり方の描写で伝わることが多い。
モデル別「強調」の書き方はここまで違う
同じ「ここを強調したい」でも、構文はモデルごとに設計思想が異なる。Google Cloudのプロンプトガイドが示すように、Nano Banana Proは数値による重み付けを持たず、一文の中の語順・具体性で優先度を伝える設計になっている。
| モデル | 強調の書き方 | 備考 |
|---|---|---|
| Midjourney | word::2 のように :: の後に数値をつける重み付け |
数値は省略時1、バージョンによって小数点対応 |
| FLUX.2 | 重み構文なし。「with emphasis on」など自然文、語順を先頭に置く | 括弧記法は残るが効果は小さいとBFL公式が明記 |
| Nano Banana Pro(Gemini) | 一文内の描写順序と具体性で誘導。明示的な重み構文なし | アスペクト比・解像度はプロンプト末尾かAPIパラメータで指定 |
| Ideogram | color_palette配列やJSON構造で要素ごとに優先度を明示 | Magic Promptがテキストを自動でJSON化 |
モデル別「除外(ネガティブ)」の書き方はここまで違う
Googleの公式ドキュメントや各種プロンプトガイドを横断すると、「除外したいもの」の書き方には大きく2系統ある。Midjourneyのように専用パラメータで明示的に除外語を渡す方式と、FLUX.2やImagenのように「ない状態」を肯定文で描写する方式だ。後者を知らずに「no blur」のような否定文を書き続けると、モデルによっては狙った効果が出ない。
| モデル | 除外(ネガティブ)の書き方 | NG例→OK例 |
|---|---|---|
| Midjourney | --no item1 item2(内部的に ::-0.5 相当の重み) |
そのまま除外語を列挙してよい |
| FLUX.2 | ネガティブプロンプト非対応。欲しくない状態の反対を肯定文で書く | 「no blur」→「sharp focus throughout」 |
| Imagen | 短い除外語(5〜10語程度)を平叙文で。「no/avoid」は避ける | 「no people」→「empty street, clean pavement」 |
| Nano Banana Pro(Gemini) | 除外よりも「なってほしい状態」を一文の中で先に描写 | 「no clutter」→「a tidy, minimal desk with a single lamp」 |
アスペクト比・解像度の指定もモデルごとに違う
構図・色・質感を仕上げても、最後にアスペクト比や解像度の指定方法を間違えると再現性が落ちる。Imagenの公式ドキュメントとNano Banana Proのガイドでは対応するアスペクト比の数が異なるので、使うAPI・画面の仕様を都度確認したい。
| モデル | 主なアスペクト比 | 解像度の指定 |
|---|---|---|
| Midjourney | --ar パラメータで自由指定(例 3:2, 16:9) |
--q で画質係数を指定 |
| Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image) | 1:1, 2:3, 3:2, 3:4, 4:3, 4:5, 5:4, 9:16, 16:9, 21:9(API/Vertex AIで対応数に差あり) | 1K/2K/4K(大文字表記が必須) |
| Imagen | 1:1, 3:4, 4:3, 9:16, 16:9 の5種 | aspect_ratio / image_size パラメータで指定 |
まとめ——「型」はモデルの仕様書とセットで覚える
被写体・構図・光・レンズに続いて色・質感まで言語化できるようになると、プロンプトの再現性は大きく上がる。ただし今回見た通り、「強調」と「除外」の文法はモデル間で互換性がない。新しいモデルを試すときは、まず公式のプロンプトガイドで強調・ネガティブ・アスペクト比の3点だけでも先に確認しておくと、狙った絵に早くたどり着ける。
主な情報源
- Multi-Prompts & Weights – Midjourney公式ドキュメント
- Prompting Guide – FLUX.2 [pro] & [max] – Black Forest Labs
- Ultimate prompting guide for Nano Banana – Google Cloud Blog
- Gemini 3 Pro Image – Nano Banana Pro – Google DeepMind
- Prompt Structure – Ideogram公式ドキュメント
- Generate images using Imagen – Gemini API公式ドキュメント
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