キャラクターの顔を固定する方法は前回扱ったので、今日は視点を変える。ロゴも人物も違うのに「同じシリーズだ」とひと目でわかる——そんな世界観の統一を狙うのが「スタイルリファレンス」と「シード値」だ。Midjourneyの--sref、Ideogramのカスタムスタイル、Nano Banana Proの複数参照画像、そして動画側のKling・Veoの参照機能まで、被写体が変わっても画づくりのルールだけを引き継ぐための具体的な書き方をまとめる。

「同じ顔」ではなく「同じ画づくり」を保つという課題
キャラクター参照(Character Reference)が解決するのは「人物の同一性」だが、ブランドのキービジュアルやシリーズもの記事のアイキャッチで本当に欲しいのは、被写体がバラバラでも色味・光の質・質感・構図の呼吸が揃っていることの方が多い。この「画づくりのルール」を写し取って新しいプロンプトに適用する仕組みが、各社が実装しているスタイルリファレンスであり、そこにシード値による再現性を組み合わせることで、量産しても破綻しないビジュアルシリーズがつくれる。
作例1:Midjourneyの--sref+--sw+固定シードでプロダクト連作をつくる
①狙い:文房具ブランドの新作3点(ノート・万年筆・封蝋)を、同じ光・同じ余白の「シリーズ広告写真」として揃えて出す。
flat lay product photo of a linen-bound notebook on a pale oak desk, a dried eucalyptus sprig beside it, soft window light from camera-left, muted sage and terracotta palette, fine paper grain, minimal cast shadows, editorial stationery photography --ar 4:5 --style raw --stylize 120 --sref 4231987 --sw 180 --seed 771034
flat lay product photo of a brass fountain pen resting on torn kraft paper, a small wax seal beside it, soft window light from camera-left, muted sage and terracotta palette, fine paper grain, minimal cast shadows, editorial stationery photography --ar 4:5 --style raw --stylize 120 --sref 4231987 --sw 180 --seed 771034
③分解解説:公式ドキュメントによれば--srefは被写体そのものではなく「色・素材・質感・光」といった視覚言語だけを転写する仕組みなので、商品が変わっても違和感なく使い回せる。--sw(style weight)はパラメータ一覧にある通り0〜1000で調整でき、デフォルトの100より強めの180にすることでテキストプロンプトより画づくりのルールを優先させている。さらに--style rawでMidjourney特有の過剰な装飾を抑え、複数カットで同じ--seedを使い回すことでノイズの初期値まで揃え、光の粒立ちや質感の再現性を底上げしている。変えているのは被写体を描写する語句だけ、という点が量産のコツだ。
作例2:Ideogramのカスタムスタイルでブログアイキャッチを量産する
①狙い:週替わりの技術ブログ記事に使う、テイストが統一されたアイソメトリック風アイキャッチを、話題ごとに描き分ける。
isometric illustration of a small robot watering a houseplant made of glowing circuit lines, rounded friendly shapes, soft gradient background, pastel teal and coral color scheme, subtle drop shadow, clean vector-style line work
isometric illustration of a small robot organizing floating file folders into a neat stack, rounded friendly shapes, soft gradient background, pastel teal and coral color scheme, subtle drop shadow, clean vector-style line work
③分解解説:IdeogramのStyle Reference機能は、自作イラスト最大3枚をアップロードして「マイスタイル」として登録できる点がMidjourneyの--srefと異なる。一度作成したスタイルの参照元画像は後から変更できない仕様なので、チーム全員が同じスタイルコードを指すだけで、元画像を共有しなくても常に同じ画づくりを再現できる。プロンプト側は主役(ロボットが何をしているか)だけを書き換え、色数・線の太さ・影の付け方といった約束事はスタイル側に任せるのが量産のコツだ。Character Referenceと組み合わせれば、同じマスコットが毎回違う作業をしているシリーズにも展開できる。
作例3:Nano Banana Proの複数スタイル参照でキャンペーン画像セットをつくる
①狙い:同じ商品(陶器のマグカップ)を、異なるシーン3カットでも「同じ撮影セット」に見えるカフェ風ライフスタイル広告にする。
Reference 1 (style only): cinematic warm lighting, soft film grain, teal-and-amber color grade. Do not copy its background or objects.
Reference 2 (subject only): the ceramic mug with its logo, exact shape and glaze color. Preserve geometry and proportions exactly.
Generate: a lifestyle photo of the mug placed on a wooden café table at golden hour, a linen napkin beside it, out-of-focus greenery in the background, 4K, aspect ratio 4:5, no added text or props
③分解解説:Google公式ドキュメントによるとGemini 3 Pro Image(Nano Banana Pro)はスタイル参照を最大3枚、オブジェクト参照を最大6枚、キャラクター参照を最大5枚まで同時に読み込める。ここで効くのが「どの画像が何の役割か」をプロンプト内で明示するテクニックで、役割を書かずに複数枚を渡すと、モデルがスタイル画像の背景や小物までそのまま持ち込んでしまうことがある。「Reference 1はスタイルのみ」「Reference 2は被写体の形状のみ」と役割を分けて指示することで、意図通りに「画づくりだけ」を継承できる。
作例4:動画でも画づくりをつなぐ——Kling 3.0とVeo 3.1の複数画像参照
①狙い:新商品ローンチの3カット動画(正面回転→手元アップ→使用シーン)を、同じ照明・同じ色温度の「ひと続きの映像」に見せる。
Shot 1, 4s, wide: [image reference 1: product hero shot] [image reference 2: warm studio lighting mood board] the ceramic mug rotates slowly on a marble pedestal, soft top-down key light, warm amber color grade matching the mood reference, camera slow push-in, no text overlay --ar 9:16
Shot 2, 3s, close-up: [image reference 1: product hero shot] [image reference 2: warm studio lighting mood board] a hand lifts the mug off the pedestal, steam rising gently, same warm amber color grade and soft top-down light as previous shot, shallow depth of field --ar 9:16
③分解解説:Kling公式ブログは、複数の画像参照を渡すことで被写体が角度を変えたり複数カットにまたがったりしても特徴を保ちやすくなると説明している。同様にVeo 3.1の技術仕様でも参照画像を使った生成が用意されており、キャラクターや背景だけでなく質感や画づくりの継承にも使える。ポイントは1枚を「被写体の参照」、もう1枚を「光・色味の参照」と役割分担すること。カットごとに変えるのはカメラワークと被写体の動作だけにし、参照画像とプロンプトの語彙(”warm amber color grade””soft top-down light”など)をカット間で完全に固定するのが、シリーズ動画をつなぐコツだ。
パラメータ・機能の早見表
| モデル / ツール | スタイル一貫性の主な機能 | 上限・範囲 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Midjourney V8.2 | --sref(URL/コード)+--sw |
--sw 0〜1000(既定100)/--seed 0〜4,294,967,295 |
被写体ではなく色・質感・光のみを転写。複数参照は::で重み付け可 |
| Ideogram 3.0 | Style Reference(カスタムスタイル作成) | 登録時アップロード最大3枚 | 作成後の参照元は変更不可。恒久的に同一スタイルを再利用できる |
| Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image) | スタイル参照/オブジェクト参照/キャラクター参照 | スタイル最大3枚・オブジェクト最大6枚・キャラクター最大5枚 | 役割をプロンプトで明示すると誤転写が減る |
| GPT Image 2.5 | reference-based edits(役割指定型の参照編集) | 複数画像、役割分担を明示推奨 | マルチターンでの一貫性維持が強化されている |
| Kling 3.0(動画) | 複数画像参照 | 用途に応じて複数枚 | アングル違いの参照で複数カットの一貫性を強化 |
| Veo 3.1(動画) | 参照画像を使った生成(Ingredients to Video) | 複数枚、1本8秒まで | キャラクター・背景に加え質感の継承にも利用可 |
量産で崩れないための3つの原則
- 変えるのは「被写体を描写する語句」だけにし、光・色・質感の語彙とパラメータ(
--sref/スタイル名/シード)はカット間で一字一句固定する。 - 複数の参照画像を渡すときは、必ず「どれがスタイル用で、どれが被写体用か」を文章で役割分担する。役割を書かないと、スタイル画像の背景や小物まで混入しやすい。
- シード値は「同じ構図をわずかに調整したいとき」の再現用であり、スタイルリファレンスの代わりにはならない。両者は別の役割を持つ道具として組み合わせる。
主な情報源
- Midjourney公式ドキュメント:Style Reference
- Midjourney公式ドキュメント:Parameter List(Seed / Style Weight)
- Ideogram公式ドキュメント:Style Reference
- Ideogram公式ドキュメント:Character Reference
- Google公式ドキュメント:Generate & edit images using Gemini(Nano Banana Pro)
- OpenAI公式ドキュメント:Image prompting(GPT Image)
- Kling公式ブログ:Best Image-to-Video AI Generators
- Google Cloud公式ドキュメント:Veo 3.1 技術仕様
サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。