2026年も折り返しを迎え、AwwwardsやCSS Design Awards、The FWAといった受賞ギャラリーには、この半年で定着したトレンドと、逆に予想外に伸びてきた潮流の両方が並んでいる。今回はデザイン賞の最新受賞傾向をもとに、Bento Gridとブルータリズムのせめぎ合い、タイポグラフィの主役化、スクロールストーリーテリング、2026年のカラーパレットという4つの軸で今の「良いWebデザイン」の実例を整理する。

受賞ギャラリーが映す「いま」— Awwwards・CSS Design Awards・FWA
CSS Design Awards の Website of the Dayでは、7月に入ってからも Cuchillo、KOJI、AUGE Experience といったサイトが連日選出されている。共通するのは「映画のワンシーンのような没入感」で、単なる装飾ではなく、スクロールに合わせて物語が進む構成が評価軸になっている点だ。3つの主要アワードはそれぞれ審査の重心が少し異なる。
| アワード | 重視するポイント | 傾向 |
|---|---|---|
| Awwwards | デザイン・使いやすさ・独創性・コンテンツのバランス | 洗練されたビジュアルと実用性の両立 |
| CSS Design Awards | UI/UX・イノベーション・コンテンツ | 実験的なインタラクションに寛容 |
| The FWA | 体験としての完成度・WebGL/3D表現 | 没入型・モーション重視の作品に強い |
トレンド1:Bento Gridの定着と、揺り戻しのブルータリズム
カード状のモジュールを格子状に並べるBento Gridは、SaaSのLPからポートフォリオ、ダッシュボードまで定番のレイアウトとして定着した。整理された情報設計と、余白を活かした視覚的な軽さが支持されている。
一方で、2026年半ばの振り返り記事が指摘するように、Bento一色になった反動として「アンチグリッド」なブルータリズムがアーティストのポートフォリオや独立系メディア、文化施設のサイトで存在感を増している。生成AIやテンプレートで似通ったデザインが量産される中、あえて崩れたグリッドや荒いタイポグラフィで「均質化されていない」印象を打ち出す狙いだ。ガラス風の半透明パネルを使うグラスモーフィズムも引き続き見られるが、ナビゲーションやモーダルなど限定的な使い方に絞る事例が増えている。
トレンド2:タイポグラフィが主役になる

写真やイラストに頼らず、大きな見出しそのものをビジュアルの主役にするサイトが目立つ。映画のタイトルロゴのように文字を大胆に配置し、スクロールに合わせて文字が分割・変形するアニメーションを組み合わせる手法だ。Figmaの2026年トレンドレポートでも、テキストが最も速く意図を伝える要素として再評価されていることが紹介されている。日本語サイトでは縦組みや可変フォントの活用でこの流れを取り入れる余地が大きい。
トレンド3:スクロールストーリーテリングとGSAP ScrollTrigger
FWAの月間受賞では、IVRESSのように「ナレーションなしで短編映画のように展開する」ブランドサイトや、10周年を記念したスライド構成の企業サイトが選ばれている。こうした作品の多くが採用しているのがGSAP ScrollTriggerで、スクロール位置を編集のタイムラインのように扱い、意図したペースで情報を出し入れする「スクローリーテリング」がもはや一過性のトレンドではなく職人技として扱われている。3D表現にはThree.jsを組み合わせる作例も多い。
トレンド4:2026年のカラー — ソフトなグラデーションとアーストーン
色面では、鮮やかな虹色グラデーションから一歩引いた「Soft Gradients 2.0」への移行が進んでいる。複数点をなめらかに補間するメッシュグラデーションや、ほぼ気づかないほど近似色同士を繋ぐ極薄グラデーションが、装飾ではなく情報設計の一部として使われ始めた点が2025年までとの違いだ。ニュートラルカラーには冷たいグレー系の「zinc」「slate」系統が定番化し、テック系プロダクトでは紫からシアンへのグラデーション、フィンテック系ではエメラルドからティールへのグラデーションが「らしさ」を演出する配色として使われている。同時に、キャラメルやシエナといった土や肌を思わせるアーストーンが、温かみと信頼感を出す配色として支持を広げている。
まとめ:4つのトレンドの位置づけ
| トレンド | キーワード | 向いている用途 |
|---|---|---|
| Bento Grid / ブルータリズム | 整理 vs 個性 | SaaS・LP/アート系ポートフォリオ |
| タイポグラフィ主役化 | 可変フォント・アニメーション | ブランドサイト・キャンペーンLP |
| スクロールストーリーテリング | GSAP ScrollTrigger・Three.js | ブランド体験・周年サイト |
| ソフトグラデーション/アーストーン | メッシュグラデーション・zinc/slate | プロダクトUI全般 |
いずれも派手さのための装飾ではなく、情報を届けるための手段として動きや色、文字が使われている点が共通している。次に自社サイトを見直す際は、受賞ギャラリーを「真似る対象」ではなく「今どんな体験が評価されているか」を確認するリファレンスとして眺めてみるとよいだろう。
主な情報源
- CSS Design Awards — WOTD Award Winners
- Awwwards
- The FWA
- Figma — Top Web Design Trends for 2026
- WriterDock — Bento Grids & Beyond: 7 UI Trends Dominating Web Design 2026
- Studio Meyer — Web Design Trends 2026: What Actually Held Up After Six Months
- Recursion — The Modern Color Palette: UI/UX Color Trends That Define 2026
- GSAP — ScrollTrigger Docs
- Utsubo — Best Three.js Websites 2026
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