Webサイト制作の現場では、コードを書く前の「素材づくり」がボトルネックになりがちだ。バナー画像の差し替え、ヒーローセクションのアニメーション設計、ブランドに沿ったアイコンやイラスト、ムードボード用のビジュアル探索――どれも地味に時間を食う。今回は、そうした制作前工程をAIで加速する4つのツール、Higgsfield・MotionSites・Recraft・Kreaの最新動向を取り上げる。

Higgsfield「Banana Placement」――ブラシで囲むだけの画像編集
Higgsfieldはもともと動画生成AIとして知られるが、AI Design Generatorという画像・バナー編集機能群も展開している。その中の新機能Banana Placementは、ベース画像の中で変更したい範囲をブラシでざっくり塗り、テキストで「商品をテーブルの上に45度の角度で、柔らかい影付きで置く」のように指示するだけで、写実的な合成・置き換えができる編集ツールだ。参照画像(商品パッケージや家具の写真など)をアップロードすれば、プロンプトなしでもオブジェクトやロゴ、テキストの差し替えができる。
Web制作の現場では、LPのヒーロー画像やSNS用バナーの「商品だけ差し替えたい」「背景を変えたい」という細かい修正依頼が頻発する。Photoshopで合成するほどではないが、Nano Bananaのような汎用画像生成では位置や角度の制御が難しい――その隙間を埋める用途として実用性が高い。
MotionSites――「AIっぽくない」ヒーローセクションのプロンプト集
MotionSitesは、Claude・Lovable・Bolt.newなどのAIサイトビルダーやコーディングAIに投げ込む「ヒーロー・セクション専用プロンプト」のライブラリだ。Sectionsページには、3Dスクロール演出・ガラスモーフィズム・パーティクル背景・カーソル追従など、あらかじめデザインロジックが練り込まれたプロンプトが並ぶ。単に「かっこいいランディングページを作って」と頼むと量産型のAI感が出やすいのに対し、完成イメージ(参照画像)とセットのプロンプトを使うことで、そのばらつきを抑えるのが狙いだ。
使い方はシンプルで、気に入ったセクションのプロンプトをコピーし、Claude CodeやLovableに貼り付けて生成させる。無料プランでも一部プロンプトは試せる。「AIで作った感」を消したいフリーランス・小規模制作会社向けの、いわば素材集×プロンプト集のハイブリッドと捉えるとわかりやすい。
ヒーロー演出系ツールの比較
| ツール | できること | 向いている用途 |
|---|---|---|
| Higgsfield | 写真・バナー画像の部分編集、商品合成 | 差し替え頻度の高いLP・広告バナー |
| MotionSites | アニメーション付きヒーロー/セクションのプロンプト集 | コーディングAIと組み合わせたLP制作 |
| Spline・Rive | 3D/インタラクティブアニメーションの直接制作 | 凝ったインタラクション込みの本格演出 |

Recraft――ブランドの「らしさ」を保ったまま生成するベクターツール
Recraftは、アイコン・イラスト・ロゴ・モックアップをAIで生成しつつ、編集可能なSVGとして書き出せることが強みのデザインツールだ。最新のAdvanced Style Creation and Controlでは、ブランドごとの配色・タッチを「スタイル」として定義・保存し、チームやプロジェクトを横断して一貫したビジュアルを生成できるようになった。フォトリアル・イラスト調・シンプル・シュールなど幅広いプリセットスタイルも用意されている。
Recraftのベクター生成は、単なるラスター画像にsvg拡張子を付けたものではなく、Figmaやillustratorでノード単位から編集できる本物のパスデータを出力する点が特徴だ。Web制作で必要になるアイコンセットやシンプルな図形イラストを「ブランドの色・タッチのまま」量産したい場合に向いている。
Krea 2――探索と操作性を両立する新しい画像生成基盤モデル
Kreaは、公開したKrea 2 Technical Reportで、新しい基盤モデル群「Krea 2」の設計思想を明らかにした。目指すのは「美的な多様性」と「ユーザーによる創作コントロール」の両立で、テキストと画像入力の両方からより探索的に生成できる「プロンプトエキスパンダー」と「スタイル参照システム」を組み込んでいる。多段階の学習パイプライン(事前学習・中間学習・SFT・選好最適化・強化学習)を経て、画質だけでなく「創造的なばらつき」も評価軸に含めているのが特徴だ。
ムードボードやコンセプトビジュアルづくりの初期段階で、狙った方向性に寄せつつも予想外の当たりを拾いたい――というデザインワークのニーズに応える位置づけのモデルといえる。
まとめ
- 細かいバナー差し替えはHiggsfield Banana Placementのブラシ編集が速い
- 「AIっぽくない」ヒーローセクションはMotionSitesのプロンプト集が近道
- ブランド一貫のアイコン・イラストはRecraftの編集可能ベクターが便利
- 探索的なビジュアル出しにはKrea 2のスタイル参照システムが向く
いずれも一つで完結するものではなく、素材づくりの工程ごとに使い分けるのが現実的だ。
主な情報源
- Higgsfield Blog: Image Editing of the Future. Meet Higgsfield Banana Placement
- MotionSites: Sections — AI Sections Prompt Library
- Recraft Blog: New Tools for Brand Style Consistency and Control
- Krea Blog: Krea 2 Technical Report
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