2026年8月、OpenAIはChatGPTの週間アクティブ利用者が10億人を超えたと発表する一方で、次期モデル「Astra」による数学的発見、13〜17歳向けの「ChatGPT for Teens」、エンタープライズ向けのゼロデータ保持(Zero Data Retention)など、成長・研究・安全性の各面で大きな発表が相次いだ。本稿ではその主なトピックを出典付きで整理する。

ChatGPT週間利用者が10億人に到達、無料版も無制限テキストチャットへ
ChatGPTの週間アクティブ利用者数が2026年7月31日に10億人を超えたと確認された。2026年2月の9億人、2025年2月の4億人から拡大を続けており、当初は2025年末を目標にしていたマイルストーンに約7カ月遅れで到達した形だ。これに合わせ、無料・Goプラン利用者向けの既定モデルがGPT-5.6 Lunaに切り替わり、テキストチャットの利用制限が撤廃されたほか、複雑な質問に対してより深く推論させる「Think」ボタンが追加された。Plus・Proプランでは上位モデルGPT-5.6 Solが利用でき、推論の深さを調整する「thinkingスライダー」も用意される。有料版のGPT-5.6 Solでは事実誤りが最大68%減少したという。
出典: Yahoo Tech
API向け「Ultrafast」モード登場、GPT-5.6 Solが最大14倍速に
OpenAIは8月13日、API向けにGPT-5.6 Solを最大14倍高速に動かす新サービスティア「Ultrafast」を発表した。CerebrasのWafer-Scale Engineを活用し、標準モードの約53トークン/秒に対して最大750トークン/秒を実現する。品質を落とさずに高速化しており、インシデント対応や金融リサーチ、リアルタイムのカスタマーサポート・音声アプリケーション、コーディングなどの用途を想定する。現時点では利用枠が限られたプレビュー提供で、Cerebrasの処理能力に応じて対象顧客を選定するとしている。これに加え、GPT-5.6 SolのAPI・クレジット価格は3カ月間、20%以上引き下げられた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 標準モードの速度 | 約53トークン/秒 |
| Ultrafastモードの速度 | 最大750トークン/秒(約14倍) |
| 提供形態 | 限定プレビュー(API経由) |
| 基盤ハードウェア | Cerebras Wafer-Scale Engine |
出典: TechCrunch
次期モデル「Astra」、10件の未解決数学問題を約2000ドルの計算コストで解決
OpenAIは未発表の次期主力モデル「Astra」が、数学・理論計算機科学分野で10年以上未解決だった問題10件の解を生成したと発表した。全10問の解にかかった計算コストはGPT-5.6 SolのAPI料金換算で合計約2000ドルだったという。代表例として、1999年にMikhail Gromovが提起して以来未解決だった非sofic群の明示的構成、Connesの剛性予想(von Neumann環)への反例、Ehrhartの体積予想の証明、Paul Erdősが遺した問題集のうち多色ラムゼー数に関する「問題183」を含む3件の解決が挙げられる。OpenAIは249ページの論文と、証明支援系Lean 4による検証済み証明証明書をApache 2.0ライセンスでGitHubに公開し、全10証明で「sorry」(未完了ステップ)が0件であることを示した。これらの結果はライバルであるAnthropicによって独立に再現されたと報じられている。
出典: SiliconANGLE
13〜17歳向け「ChatGPT for Teens」を提供開始
8月18日、OpenAIは13〜17歳を対象とした専用版「ChatGPT for Teens」の提供を開始した。自殺・自傷や恋愛・性的な話題などへの制限を強化し、保護者による管理機能や、学習を支援する新機能「Study Mode」を搭載する。Study Modeでは答えをそのまま提示する代わりに、段階的な質問やヒントを通じて生徒の理解を促す設計になっている。宿題を安易にAIへ丸投げしようとする挙動を検知した場合には、代わりに学習を促すリマインドを表示するという。未成年のAIチャットボット利用に関する訴訟や安全面の懸念が相次いでいたことを背景とした対応とみられる。
出典: TechCrunch

フロンティアモデルに「ゼロデータ保持」、非公開の安全性処理も提供へ
8月19日、OpenAIはフロンティアモデルを対象に、プロンプトや応答を処理後に一切保持しない「Zero Data Retention(ゼロデータ保持)」の提供を発表した。顧客の内容がOpenAIの社員によって閲覧されることはなく、明示的な同意がない限りモデルの学習にも使用されない。併せて、個々のプロンプトや応答をスタッフに開示せずに不正利用の兆候だけを検知する新システム「Private Safety Processing」も紹介された。金融記録や医療情報、機密性の高い事業データなどを扱う規制業界のエンタープライズ導入を後押しする狙いがあり、技術的な詳細を記したホワイトペーパーは9月に公開予定としている。
出典: OpenAI公式ブログ
相次ぐ機能終了:DALL·E GPT、Atlas、o3
成長や新機能発表の一方で、既存機能の整理も進む。ChatGPT内の公式DALL·E GPTは8月30日に終了予定で、画像生成機能は標準のChatGPT対話に統合されていく。ブラウザ操作型エージェントAtlasは8月9日に稼働を終了し、その機能はChatGPTおよびCodexのエージェント機能に統合された。また推論モデル「o3」は90日間の移行期間を経て8月26日にChatGPTから退役する(APIには影響しない)。相次ぐ統合・終了は、個別ツールを主力チャット体験へ集約していく方針の一環とみられる。
出典: OpenAI Help Center(Release Notes)
主な情報源
- Yahoo Tech: ChatGPT Tops 1B Weekly Users
- TechCrunch: OpenAI introduces ‘Ultrafast’
- SiliconANGLE: OpenAI’s Astra solves 10 long-open math problems
- TechCrunch: OpenAI launches a safer ChatGPT for Teens
- OpenAI: Offering Zero Data Retention for frontier models
- OpenAI Help Center: ChatGPT Release Notes
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