被写体・光・レンズ・強調・除外——画像/動画プロンプトを「型」で書く実践講座

プロンプトの書き方 のアイキャッチ

「かっこいい写真っぽい絵が出るプロンプト」と「なんとなく雑な絵になるプロンプト」の差は、センスではなく要素の抜け漏れであることが多い。被写体・構図・光・レンズ・質感・色・強調・除外という部品を意識して並べるだけで、狙った絵にぐっと近づく。ただし「強調の書き方」と「除外(ネガティブ)の扱い方」はツールごとに作法が真逆なことがあるので、そこも含めて整理する。

画像・動画生成AIのプロンプト設計をイメージしたイラスト

プロンプトは「8つの部品」でできている

写真・イラスト系の完成度が高いプロンプトは、だいたい次の要素の組み合わせでできている。全部を毎回書く必要はないが、「今回どれが抜けているか」をチェックリストとして使うと、出力のブレが減る。

  • 被写体:何が写っているか(年齢・服装・素材感まで具体的に)
  • 構図・アングル:ショットサイズ、視点の高さ、画面内の配置
  • 光:光源の方向・質・色温度(例:窓からの柔らかい斜光、夕方の暖色)
  • レンズ・技法:焦点距離、絞り、被写界深度、画材やタッチ
  • 質感:表面の凹凸、素材の反射、肌や布のディテール
  • 色:配色の方向性(例:くすんだテラコッタとクリーム)
  • 強調:絶対に外したくない要素をどう優先させるか
  • 除外:写ってほしくないもの(対応はモデルによって作法が違う)

作例①:人物ポートレート(強調構文つき)

①狙い:Midjourneyのような重み付け構文が使えるツールを想定した、職人の手元にフォーカスしたエディトリアル風ポートレート。

editorial portrait of a woman in her 40s with clay-dusted hands, standing in a sunlit pottery studio, three-quarter view, medium shot
warm late-afternoon light through a large window, soft directional shadows on the wall
shot on an 85mm lens at f/1.8, shallow depth of field, subtle film grain
fine skin texture with visible pores, matte clay residue on fingertips
muted terracotta and warm cream color palette
(calm, confident expression::1.3) (clay-dusted hands in focus::1.2)
--ar 4:5 --style raw --stylize 120

③分解解説:焦点距離とF値(85mm f/1.8)を書くと背景が自然にボケ、被写体が締まる。光は「どこから・どんな質」を言葉にするだけで陰影の説明力が跳ね上がる。Midjourneyの公式ドキュメントによれば、フレーズを::で区切ると個別の要素として扱われ、直後に数値を置くと相対的な重みを指定できる。表情や手元など「絶対に崩れてほしくない部分」だけに重みを足すのがコツで、プロンプト全体に重みを付けまくると逆に破綻しやすい。

作例②:プロダクト撮影(ネガティブなし・言い換え式)

①狙い:FLUX系モデルを想定した、陶器の急須のミニマルな物撮り。除外語を並べず、欲しい状態を直接描写する。

a minimalist ceramic teapot on a raw concrete surface, product photography, eye-level, centered composition
single soft window light from the left, long soft-edged gradient shadow across the concrete
matte glaze with faint hand-thrown ridges, warm sage green and cool grey palette
clean uncluttered background, empty negative space around the subject
shot on a 50mm lens, shallow depth of field
--ar 1:1

③分解解説:Black Forest Labsの公式FLUXプロンプトガイドは、FLUXはネガティブプロンプトに対応しておらず、「何を排除するか」ではなく「何が見えているべきか」を自然文で描写するよう明言している。上の例で「no clutter, no people」と書く代わりにclean uncluttered backgroundと肯定文で置き換えているのはそのため。同ガイドは自然な散文(prose)の方が単語の羅列より効くこと、光の指定が品質への影響が最も大きいことも挙げている。

強調(重み付け)の書き方はツールで全く違う

「この要素を強く出したい」という気持ちをどう書くかは、モデルごとに構文がバラバラ。表にまとめる。

ツール 強調の書き方 備考
Midjourney 要素::数値(例:cat::3 pig::4) 公式ガイド:数値なしは重み1として扱われる
Nano Banana Pro / Imagen系 数値構文なし。書く順序=優先度 先に書いた語ほど重視されやすい(後述の並び順ガイド参照)
FLUX 数値構文なし。自然文中で明確に描写・具体化する 公式ガイド:曖昧な形容詞の連打より具体的な一文が効く
Ideogram JSON構造化プロンプトの要素順・属性で制御 公式ガイド:短い/長いプロンプトを使い分け、重要な語を先頭に

「ネガティブプロンプト」もモデルで考え方が真逆

ツール 除外の書き方 推奨アプローチ
Midjourney --no 要素1, 要素2 公式ガイド:「no cake」のように本文中で否定しても消えないことがあるため、除外専用パラメータを使う
FLUX ネガティブプロンプト自体が存在しない 公式ガイド:排除したいものではなく、見えているべき状態を直接書く
Veo(動画) ネガティブプロンプト用の項目が独立して存在 公式ガイド:subject・camera等と並ぶ構成要素の一つとして明示的に書く

動画プロンプトの型——カメラワークと尺を言葉にする

VeoやSeedanceのような動画生成では、画像の8部品に加えて「カメラの動き」「時間経過」「音」を言葉で指定する必要がある。

作例③:短尺ドキュメンタリー風カット

①狙い:静かな朝の港で網を繕う漁師を、横移動のワンカットで捉える。

A weathered fisherman mending a fishing net on a wooden pier at dawn, mist drifting low over calm water
Camera: slow lateral dolly from left to right at eye level, staying parallel to the pier, no cuts
Lighting: soft blue-grey morning light, faint lens flare where the sun breaks through the fog
Style: documentary handheld realism, muted cool color grade
Audio: creaking wood, distant gulls, gentle water lapping
Negative prompt: sudden camera shake, text overlays, extra people entering frame
--ar 16:9

③分解解説:Google CloudのVeo 3.1公式プロンプトガイドは、被写体・アクション・シーン(文脈)・カメラ・ビジュアルスタイル・音・ネガティブプロンプトという要素でショットを分解することを勧めている。上の例では「カメラの動き」と「被写体の動き」を別の行に分けて書いている点がポイントで、両方を一文に混ぜると意図しない動きが混ざりやすい。

保存版:要素チェックリスト・テンプレート

ツールを問わず使える骨格として、次の順番を土台にするとブレが少ない。

[被写体:誰/何が、どんな状態か]
[構図・アングル:ショットサイズ、視点]
[光:光源の方向・質・色温度]
[レンズ/技法:焦点距離・絞り・画材]
[質感:表面の凹凸・素材感]
[色:配色の方向性]
[強調:外したくない要素(対応モデルのみ重み構文)]
[除外:写ってほしくないもの(対応モデルのみ/非対応なら肯定文に言い換え)]

迷ったら「今回どの部品が空欄か」をこのテンプレートで数え、埋まっていない部品から書き足していくと、遠回りせずに狙った絵・映像に近づく。


主な情報源

サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。