同じ顔・同じ動きを保つ――キャラクター参照とImage-to-Videoで一貫性をつくるプロンプト実践

一貫性・参照画像 のアイキャッチ

キャラクターの顔や服装を保ったまま複数カットのイラストを作ったり、静止画から動画へ展開したりする「一貫性」は、画像・動画AI活用の中でもっとも実務に直結するテーマです。今日はMidjourneyのOmni Reference、Nano Banana Proの複数参照画像、KlingのElements、RunwayのAct-Twoという4つの経路で、「同じキャラクターを保ったまま動かす」ための自作プロンプト例と考え方を紹介します。

画像・動画生成AIのイメージイラスト

なぜ「一貫性」が難しいのか

テキストから画像を生成するモデルは、プロンプトを毎回ゼロから解釈するため、同じ言葉で「赤い髪の少女」と書いても顔立ちや服のディテールは生成のたびに変わります。この揺れ(ドリフト)を抑える方法は大きく3系統あります。ひとつは参照画像を渡して特徴を引き継がせる方法(MidjourneyのOmni Reference、Ideogram Character、Nano Banana Proの複数画像入力など)。もうひとつはシード値を固定して同じ乱数初期値から生成し直す方法。そして動画では静止画のキャラクターを「要素」として動画生成側に固定する方法(KlingのElements、Veo 3.1の参照画像、RunwayのAct-Two)があります。以下、実際に自分で作文したプロンプト例で見ていきます。

作例1:Midjourney Omni Referenceで複数シーンの同一キャラを描く

①狙い:オリジナルキャラクター「赤いレインコートの少女」を、駅・公園・部屋という異なるシーンでも同じ顔・髪型・服装で描き分ける。

a girl with a short black bob haircut and light freckles, wearing a bright red raincoat and yellow rubber boots, standing alone on a quiet train station platform at dusk, holding a closed umbrella, warm platform lights reflecting on wet concrete, soft cinematic lighting, digital illustration --oref [reference-image-url] --ow 350 --ar 3:4 --v 7

③解説:--orefは参照画像から顔立ち・髪型・服の特徴を引き継ぐパラメータで、--ow(Omni Weight、1〜1000、既定値100)が高いほど参照への忠実度が上がります。公式ドキュメントによれば低め(25〜50)は緩やかなスタイル寄せ、高め(400以上)は厳密な再現に向くとされており、今回は「同一人物だとはっきり分かる」レベルを狙って350に設定しました。プロンプト本文側はシーン(駅・夕暮れ・濡れた路面)だけを書き換え、キャラクターの外見描写は参照画像に任せるのがコツです。

作例2:Nano Banana Proに複数の参照画像を渡して雨の商店街カットを作る

①狙い:正面・横顔・全身の3枚のキャラクター資料画像を添付し、夜の雨降る商店街を歩く新カットを、別アングルでも崩さずに生成する。

Using the three attached reference images of the same character (front view, side profile, full-body outfit), generate a new illustration of her walking through a rainy Japanese shopping street at night. Three-quarter angle, neon signs reflecting on the wet pavement, she is looking slightly downward while holding a small umbrella. Keep her face shape, hairstyle, and outfit exactly consistent with the references. Anime-inspired cinematic lighting.

③解説:Nano Banana Proは最大14枚の参照画像を読み込み、最大5人までの人物の一貫性を保てるとされています(Google DeepMind公式)。1枚だけでなく正面・側面・全身と異なる角度の参照を複数渡すことで、モデルが参照できる「識別の手がかり」が増え、新しいアングル(この例では斜め構図)でも崩れにくくなります。また”Keep her face shape, hairstyle, and outfit exactly consistent with the references”のように一貫性の維持を明示的に指示する一文を加えるのも、Google公式のプロンプトガイドが推奨する書き方です。

作例3:Kling AIのElementsで固定キャラに回り込みカメラを当てる

①狙い:霧の路地に立つキャラクターの静止画を「要素」として固定し、180度回り込みながらこちらを振り向くカットを動画化する。

Character element: a young woman in a beige trench coat standing in a foggy alley at night.
Camera: slow 180-degree orbit around the subject, moving from her left side to her right side, maintaining eye-level framing throughout.
Motion: her coat hem and hair sway gently in the wind; at the midpoint of the orbit she turns her head and looks directly into the camera.
Duration: 5 seconds, cinematic color grade, shallow depth of field.

③解説:KlingのElements機能は1〜4枚の画像を「要素」として登録し、被写体の外見・ポーズ・ディテールをカメラワークやシーン展開が変わっても固定できる仕組みです(公式ガイド)。プロンプトは「Character」「Camera」「Motion」「Duration」のように要素ごとに行を分けて書くと、被写体固定・カメラワーク・演技という異なる指示が混線しにくくなります。「at the midpoint of the orbit」のようにタイムライン上の特定タイミングを明示すると、5秒の尺の中でどこで動きが起きるかをモデルに伝えやすくなります。

作例4:Runway Act-Twoでイラストキャラに自分の演技を転写する

①狙い:1枚のイラストキャラクター参照画像に、自分がスマホで撮った演技動画(表情・首の動き)を転写して喋らせる。

Character reference: an elderly bearded wizard illustration, wearing deep blue robes, flat cel-shaded art style.
Driving performance: front-facing selfie video, upper body, natural indoor lighting, subject facing the camera directly.
Direction: preserve the character's illustrated line art and color palette; transfer the performer's facial expressions and head turns closely; keep hand gestures minimal and avoid adding extra camera movement.

③解説:Act-Twoはキャラクター参照(静止画または動画)と、演者が撮った「駆動用パフォーマンス動画」を組み合わせて表情・視線・手の動きを転写する仕組みです(Runway公式ヘルプ)。公式ヘルプは「駆動動画とキャラクター参照の向き・画面占有率を揃えると精度が上がる」「極端なパース差や低解像度の被写体は破綻しやすい」と説明しており、今回のプロンプトでも”preserve the character’s illustrated line art”のようにスタイル保持を明言し、”keep hand gestures minimal”で破綻しやすい手の動きを抑える指示を加えています。

もう一つの一貫性手段:シード値の固定

Stable DiffusionやFluxなど拡散モデル系のツールでは、生成の乱数初期値であるシード値を固定することでも一貫性を作れます。同じプロンプト・同じシード値・同じ設定であれば、理論上は同一の画像が再現されます(seedパラメータ解説)。実務では「気に入った構図のシードを控えておき、プロンプトの一部(服の色や背景)だけを書き換えて微調整する」という使い方が有効です。ただしシード固定は同一モデル・同一パラメータ内でのみ再現性が保証される点に注意してください。

一貫性づくりに関わる主なパラメータ・機能

ツール 一貫性関連の機能 参照画像の枚数 備考
Midjourney --oref / --ow(Omni Reference) 1枚 --owは1〜1000、既定100
Nano Banana Pro 自然言語での複数参照画像指示 最大14枚(人物は最大5人) 役割の異なる画像を2〜4枚程度がおすすめとされる
Ideogram Ideogram Character 1枚 追加学習やLoRA不要
Kling Elements(画像→動画) 1〜4枚 被写体をバインドして固定
Runway Act-Two(Performance Capture) キャラ参照1点+駆動動画 表情・手・全身姿勢を転写
Veo 3.1 参照画像によるガイド 最大3枚 人物・キャラクター・製品・スタイルの維持に対応

主な情報源

サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。