Eleven v4・Gemini 3.8 Flash TTS・Azure HD・OpenAIを比べる:2026年9月末のTTSナレーション選び

TTS・ナレーション のアイキャッチ

今週のテーマはTTS(テキスト読み上げ)とナレーション。9月28日にElevenLabsが「Eleven v4」を出し、Googleは「Gemini 3.8 Flash TTS」で声の作り方そのものを変えてきた。MicrosoftのHD音声は値下げ済み。ナレーション用途で何が選べて、どう使い分けるかを整理する。

AI音声合成のイメージイラスト

1. ElevenLabs Eleven v4:タグで演技を付ける新世代

Eleven v4は、ElevenLabsが公開した最新のTTSモデルです。制作向けの高品質版「v4」と、リアルタイム会話向けの「v4 Turbo」に分かれています。

  • 言語:90言語以上(v3は約70言語)。
  • 演出:[whispering]や[laughing]のようなオーディオタグを台本に直接書いて、間や感情を指定する。タグへの追従はv3より正確になったが、公式も「完全ではない」と説明している。
  • 長尺向け:1回の生成は最大10,000文字。文脈をつなぐ「context stitching」で、章をまたいでも読み口をそろえやすくなった。
  • クローン:Instant Voice Cloneは10秒程度の音声で作れる。Professional Voice Cloneも再び使える。以前に作ったクローンは再学習が必要。
  • Turbo:初回音声まで約150ms(ElevenLabs自社計測)。ElevenAgentsなどの会話用途向け。
[whispering] 夜明け前の駅は、思ったより静かだった。
[pause] [laughing] でも、その静けさは長くは続かなかった。

API料金は公式の料金ページで確認できます。10月12日までは72%引きのローンチ価格です。

2. Google Gemini 3.8 Flash TTS:声を「プロンプトで作る」

GoogleはGemini 3.8 Flash TTSとFlash-Lite TTSを発表しました。API側の仕様はGemini APIのモデルページにあります。

  • 従来30種だったプリセット音声が、2,000種類以上に拡大。ケベック・フランス語やメキシコ・スペイン語など地域差のある声もある。
  • 対応は100言語以上。Googleの評価では、日本語を含む複数言語でVoice Arenaの盲検評価の上位に入っている。
  • 役割・アクセント・話し方を自然言語で書いて、カスタム音声を作れる。行ごとに感情やペースを指示することもできる。
  • 1つの台本で2人の掛け合いを生成でき、ポッドキャストや対談形式の音声に向く。
  • 生成音声には透かし(ウォーターマーク)が入る。

使い方の基本は、Gemini APIの音声生成ガイドのとおり、台本に演技指示を添えて送る形です。

3. Microsoft Azure Speech:HD音声は値下げ、企業利用に強い

Azure SpeechのNeural HD音声(DragonHD系)は、LLMベースで入力文の意味や感情を読み取り、話し方を自動調整します。第三者の料金解説(TextToLab)によると、HD音声は2026年3月に100万文字あたり$30から$22へ下がりました。標準のNeural音声は$16、無料枠は月50万文字です。最新の価格はAzureの料金ページで確認してください。HD音声はリージョンによって使えない場合があります。

4. OpenAI TTS:指示で口調を変える手軽さ

OpenAIのTTS APIには、tts-1、tts-1-hd、gpt-4o-mini-ttsがあります。gpt-4o-mini-ttsは「温かく落ち着いた声で」のような指示で口調を変えられます。一方で、SSMLによる細かな発音制御はなく、声の選択肢はElevenLabsより少なめです。ElevenLabsの比較では、初回音声までの時間は814msでした。会話用途にはリアルタイム向けのモデルを検討してください。

5. 比較表

サービス 強み 言語 声の作り方 料金の目安(100万文字)
ElevenLabs Eleven v4 / Turbo 演出タグ・長尺・クローン 90言語以上 ライブラリ17,500声以上・クローン 通常$80(Turbo $40)。10/12まで$22(Turbo $11)
Google Gemini 3.8 Flash TTS プロンプトで声を設計・2人対話 100言語以上 2,000声以上・自然言語で作成 トークン課金(公式ページで確認)
Azure Speech Neural HD 企業向け運用・コンテナ対応 多言語(音声により異なる) プリセットHD音声 約$22(第三者調べ)
OpenAI gpt-4o-mini-tts 指示で口調を変える手軽さ 多言語 プリセット13音声 トークン課金(実効約$12前後・推定)

料金は各社の公開情報や第三者の集計に基づく目安です。課金単位が違うため、実際の請求額は自分の台本で試算してください。

6. どう選ぶか

  1. 感情豊かな朗読・動画ナレーション:Eleven v4。10月12日までは割引価格なので、試すなら今のうちです。
  2. 多言語展開・声の設計を自由にしたい:Gemini 3.8 Flash TTS。プロンプトで声質を作れます。
  3. 社内システムや規制の厳しい環境:Azure Speech。既存のAzure基盤にそろえやすい。
  4. すでにOpenAI APIを使っている:gpt-4o-mini-tts。追加の契約なしで音声出力を足せます。

まず同じ300字程度の台本を全サービスで読ませ、日本語のアクセント・数字・固有名詞の読みを聞き比べるのが確実です。


主な情報源

音声クローン等は本人の同意と各サービス規約の遵守が前提です。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。