「一貫性」は画像・動画生成の永遠のテーマですが、切り口はキャラクター参照(character reference)だけではありません。今日は既存記事とかぶらない角度として、seed値による再現性の作り方と、1枚の静止画を動画へ引き継ぐimage-to-videoの書き方に絞って解説します。どちらも「同じ絵・同じ被写体をどう保つか」という一貫性の実務そのものです。

seed値は「完全な再現」ではなく「安定した再現性」
seed値とは、生成の出発点となるノイズパターンを固定する数値です。同じプロンプト・同じseedなら理論上は同じ画になりますが、実際にはモデルのバージョンやサーバー環境が変わると結果がずれることがあります。Midjourney公式のパラメータ一覧では--seedが明記されており、V8.1時点の公式ドキュメントは「同一seed・同一プロンプトなら99%同一の結果になる」としています。裏を返せば、モデルのメジャーアップデートをまたぐと同じseedでも別物になり得る、ということです。
一方で、Google公式のGemini画像生成ドキュメントを見る限り、Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)にはseedパラメータの記載がありません。代わりに用意されているのが「キャラクター参照画像を最大5枚、スタイル参照画像を最大3枚まで渡せる」という参照画像ベースの一貫性維持です。つまり同じ「一貫性」でも、モデルによって手段がseed固定か参照画像かで根本的に違うため、ツールを跨ぐ運用では両方の作法を使い分ける必要があります。
作例①:Midjourneyでseedを固定し、シリーズものの続きを作る
①狙い:同じマスコットキャラクターの世界観・塗り・线画タッチを保ったまま、後日別カットを追加できるようにする。
A minimalist line-art fox mascot wearing round glasses, sitting at a wooden desk with a steaming coffee cup, flat pastel color palette, soft daylight from a window on the left, clean vector-style linework, no text --ar 4:5 --style raw --stylize 120 --seed 482017
③分解解説:--seed 482017で出発点のノイズを固定し、後日「同じseed+似た構図の指示」で続きのカットを作る土台にする。flat pastel color paletteとclean vector-style lineworkは色数と線の質感を毎回同じ言葉で指定し、seedだけに頼らず言語側でもブレを抑える二重の固定策。--style rawはMidjourney独自の過剰装飾を抑え、prompt通りの再現性を上げるために付けている。
作例②:Nano Banana Proは「seedの代わりに参照画像」で固定する
①狙い:同じキャラクターを別のポーズ・別の背景で描くが、seedが使えないため参照画像で顔・髪型・衣装を固定する。
Reference images: [character_front.png, character_side.png]
Using the two reference images as the identity source, draw the same fox mascot character now waving with its right paw in a sunny park, keep the exact same face shape, glasses, fur pattern, and outfit as the references, only change the pose and background, flat vector illustration style, no text
③分解解説:seedが存在しない前提で、keep the exact same face shape, glasses, fur pattern, and outfit as the referencesのように「変えない要素」を明文化するのがコツ。only change the pose and backgroundで変更してよい範囲を限定し、モデルに解釈の余地を与えない。参照画像は正面・側面など複数角度を用意すると顔の再現率が上がる。
image-to-video:「1枚の絵」を動画へ引き継ぐ書き方
image-to-videoは、静止画を最初の1フレームとして渡し、テキストプロンプトでは「その後どう動くか」だけを指示する手法です。Kling AI公式APIドキュメントやMiniMax(Hailuo)公式APIドキュメントは共に、画像入力を使う際はプロンプトを「構図の再描写」ではなく「動きの記述」に絞ることを前提とした設計になっています。被写体やレイアウトをテキストで再度説明すると、画像の情報と矛盾して破綻しやすいためです。
作例③:Klingのimage-to-videoで「動きだけ」を書く
①狙い:作例①で作った静止画をそのまま最初のフレームにして、キャラクターが動き出す5秒カットを作る。
The fox mascot slowly lifts the coffee cup with both paws, steam curling upward and dispersing, a single slow blink, static medium shot with no camera movement, warm ambient light flickers subtly, calm and quiet mood, 5 seconds
③分解解説:被写体の見た目(眼鏡・毛色・机)は画像側にすでにあるため触れず、slowly lifts the coffee cupやsteam curling upwardなど時間経過を伴う動作だけを書く。static medium shot with no camera movementとカメラの静止を明記しているのは、指定しないとモデルが不要なパン・ズームを足してしまうことがあるため。
作例④:Runway ReferencesでSubject+Sceneを組み合わせる
①狙い:同じキャラクター参照画像と、別に用意した背景参照画像を組み合わせ、新しいロケーションのカットを作る。
@fox_mascot walks into @cafe_interior and sits down at the counter, camera slowly dollies in from a low angle, warm afternoon light through the window, shallow depth of field, cinematic 24fps, subtle film grain, calm pacing
③分解解説:Runway公式のReferencesガイドが示す通り、@タグで登録した被写体参照とシーン参照をプロンプト内で名指しして組み合わせるのが基本構文。dollies in from a low angleのようなカメラワーク用語を足すことで、静止画には無い「動き」の情報だけを追加できる。
作例⑤:Hailuo(MiniMax)でfirst-frame画像に短い動作指示を添える
①狙い:置き画(フラットレイ)の静止画を、そのまま動く商品カットに変換する。
The paper crane on the desk slowly unfolds itself into a flat sheet then refolds into a paper airplane, subtle paper rustling motion, locked-off top-down flat lay shot, soft studio lighting, no camera movement, 6 seconds
③分解解説:MiniMax公式ドキュメントのimage-to-videoモードは「最初の画像+動きを説明するプロンプト」という構成を明示しており、被写体の材質や色を書き直す必要がない。locked-off top-down flat lay shotのように画角固定を書くのは、image-to-videoでカメラが勝手に寄り引きするのを防ぐための保険。
seed・image-to-video対応まとめ表
| ツール | seed指定 | 一貫性の主な手段 | 公式情報源 |
|---|---|---|---|
| Midjourney | 対応(–seed、V8.1で同一seed+プロンプトは99%同一) | seed固定+Style Reference(–sref) | 公式パラメータ一覧 |
| Nano Banana Pro | 非対応(公式ドキュメントに記載なし) | キャラ参照画像 最大5枚/スタイル参照画像 最大3枚 | Gemini API 画像生成ドキュメント |
| Kling AI | 公開APIドキュメントに独立パラメータの明記なし | image-to-video(first frame / last frame指定) | Kling AI API ドキュメント |
| Runway Gen-4 | 非公開(Referencesが主軸) | Subject/Scene/Style Referenceの組み合わせ | Runway Referencesガイド |
| Veo 3.1 | 非公開 | last-frame control、シーン拡張 | Gemini API 動画生成ドキュメント |
| Hailuo(MiniMax) | 非公開 | image-to-video(first-frame画像+動作プロンプト) | MiniMax API ドキュメント |
運用のコツ:seedとプロンプトと画像は必ずセットで保存する
- seedが効くツールでも、モデルのメジャーバージョンが変わると同じseedでも結果が変わることがある。「seed値+プロンプト全文+モデルバージョン」を3点セットでメモしておく。
- seedが無いツール(Nano Banana Proなど)では、「変えない要素」を明文化する一文(例:keep the exact same face, hairstyle, outfit as the reference)を必ずプロンプトに入れる。
- image-to-videoでは、静止画側の情報を言葉で繰り返さない。動きとカメラの指示だけに絞ることで、画像とテキストの矛盾による破綻を防げる。
- カメラを動かしたくない場合は
no camera movementやlocked-offなど、明示的な静止指定を必ず添える。
主な情報源
- Midjourney公式 Parameter List(Seedsを含む)
- Google Gemini API 公式 画像生成ドキュメント(Nano Banana Pro)
- Google DeepMind公式 Gemini 3 Pro Image(Nano Banana Pro)紹介ページ
- Kling AI公式 Image to Video APIドキュメント
- Runway公式 References Guide
- Google Gemini API 公式 動画生成ドキュメント(Veo 3.1)
- MiniMax公式 Video Generation APIドキュメント(Hailuo)
サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。