ブラウザ丸ごとAIエージェントに——Perplexity「Comet」を試す

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検索エンジンではなく「ブラウザそのもの」をAIに置き換える——そんな野心的なプロダクトがPerplexityのCometです。2025年7月に月額200ドルの有料ブラウザとして登場し、わずか数カ月で世界中に無料開放、さらにパブリッシャーへの収益還元プログラムまで打ち出すなど、この1年で急速に姿を変えてきました。今回はComet の機能・料金・ビジネスモデルと、直近のニュースを整理して紹介します。

AIエージェントブラウザのイメージイラスト

Cometとは何か

Cometは、AI検索サービス大手Perplexityが開発したChromium系のAIネイティブブラウザです。従来のブラウザに拡張機能としてAIを載せるのではなく、あらゆるタブに常駐する「Comet Assistant」を中核に据え、閲覧中のページ内容とWeb検索を組み合わせて質問に答えたり、フォーム入力や予約、比較検討といった作業を代行したりする「エージェント型ブラウジング」を志向しています。2025年7月にmacOS・Windows向けにPerplexity Maxユーザー限定(月額200ドル相当)で提供が始まり、同年10月に全世界・全プラットフォームで無料化。2026年3月18日にはiOS版も追加され、Android・iOS・macOS・Windowsで利用できるようになりました。

主な機能

  • Comet Assistant — 新規タブを開くと同時にサイドバーで待機するエージェント。閲覧中のページ内容とPerplexityのリアルタイムWeb検索を組み合わせて回答し、ショッピングサイトでの比較や予約フォームの入力なども代行する。
  • Deep Research連携 — 複数ソースを横断してリサーチし、出典付きの要約を生成する機能がComet内で完結。2026年3月のアップデート以降は、リサーチ結果からPowerPointプレゼン・スプレッドシート・ダッシュボードなどの成果物を直接生成できるようになった。
  • 音声モード — デスクトップ版ではOpenAIの音声モデル「GPT Realtime 1.5」を採用し、音声で質問したりタスクの途中でフィードバックを与えたりできる。
  • バックグラウンドアシスタント — タブを閉じた後もタスクを継続実行できる機能も追加され、リサーチや購入手続きなどの「エージェント作業」をブラウザに任せる方向に進化している。

料金プランの変遷

時期 提供形態 価格
2025年7月〜 Perplexity Max会員限定 月額200ドル相当
2025年10月〜 全世界・全ユーザー無料開放 無料(一部機能は上位プラン)
2025年8月〜 Comet Plus(パブリッシャー収益還元付き) 月額5ドル
2026年3月〜 iOS版追加、Deep Researchの成果物生成強化 無料版でも順次提供
ノートパソコンでウェブブラウザを使う様子
Photo: Sean MacEntee / CC BY 2.0(Openverse経由)

Comet Plus——パブリッシャーへの収益還元モデル

AIによる要約・引用がニュースサイトへの流入を奪っているという批判に対し、Perplexityは月額5ドルの「Comet Plus」を軸に、総額4250万ドルの収益分配プールを用意しました。仕組みはシンプルで、購読料の80%をパブリッシャーに、20%をPerplexityが受け取ります。還元は「Cometブラウザからの直接送客」「AI回答内での引用」「エージェントが記事内容を参照してタスクを完了した場合」の3区分に分けて計算されます。Blavity、Der Spiegel、Fortune、Gannett、The Independent、Timeなど複数のメディア企業が参加しており、生成AIとジャーナリズムの共存モデルの一例として注目されています。

競合エージェント型ブラウザとの違い

2025年後半以降、「エージェント型ブラウザ」はOpenAIやThe Browser Companyも参入する激戦区になっています。

ブラウザ 提供元 特徴
Comet Perplexity リサーチ・引用に強み。Deep Researchで資料生成まで対応
ChatGPT Atlas OpenAI ChatGPTのメモリー機能と連携した「Agent Mode」で予約・フォーム入力を代行
Dia The Browser Company URLバーがコマンドセンター化。タブ単位の記憶やスキル機能が特徴

直近の動きと課題

2026年8月にはインドで実施した無料AI提供施策により、Perplexityの利用者が大きく積み増されたと報じられています。無料開放とCometの普及が新興市場での存在感拡大につながっている一方、著作権や商標を巡る訴訟は米国・日本・イタリアの3カ国で計11件に上るとされ、パブリッシャーとの関係は依然として綱引きが続いています。Comet Plusのような収益還元の枠組みが今後どこまで広がるかが、AIブラウザとメディア産業が共存できるかどうかの試金石になりそうです。

まとめ:こんな人におすすめ

Comet は、リサーチや資料作成を頻繁に行う人、複数タブをまたいだ調べ物を効率化したい人に向いています。無料で使える範囲が広がったため、まずは通常のブラウザ代わりに試してみて、Deep Researchによる資料生成やエージェント機能がどこまで業務に役立つかを見極めるのがよいでしょう。エージェントに閲覧履歴やアカウント操作を任せる以上、利用するサービスの規約やプライバシー設定は事前に確認することをおすすめします。


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