xAI「Grok Build」情報流出騒動とOSS化、Perplexityの低コスト・オーケストレーター、Metaのデータセンター大投資——2026年7月中旬フロンティアAI動向

Grok・Copilot 他 のアイキャッチ

今週はxAI・Perplexity・Meta・Microsoftという「Claude/Anthropic以外」のフロンティア勢に、それぞれ性質の異なる動きがあった。中でも目を引くのは、xAIのAIコーディングエージェントがユーザーのリポジトリを無断で大量アップロードしていたという信頼性に関わる事件と、その火消しとしての緊急オープンソース化だ。あわせて、Perplexityのコスト最適化型エージェント、Metaの巨大インフラ投資への市場評価、Microsoft Copilotのロードマップ再編を取り上げる。

AIエージェント・ツールのイメージイラスト

xAI「Grok Build」がリポジトリを無断アップロード、4日後に緊急オープンソース化

セキュリティ研究者cereblab氏が7月中旬に公開した通信解析により、xAIのターミナル型コーディングエージェントGrok Build(バージョン0.2.93)が、開発者が明示的に開かないよう指示したファイルまで含むGitリポジトリ全体(コミット履歴・APIキー・DB認証情報などを含む)をxAI管理下のGoogle Cloud Storageへ無断で送信していたことが明らかになった。実際にタスク処理に必要なモデルとの通信量が約192KBだったのに対し、ストレージへの送信量は約5.10GiBと約27,800倍の開きがあったという。

報道から48時間足らずで、xAI(現SpaceXAI)は7月15日、Grok Buildのソースコード全体をGitHubリポジトリ「xai-org/grok-build」にてApache License 2.0でオープンソース化し、全ユーザーの利用制限をリセットしたと発表した。Elon Musk氏は同日、X本体のコードベースも「例外なく」全面オープンソース化する方針を明らかにしている。xAI側は、ゼロデータ保持(ZDR)契約のユーザーはコード痕跡が残らず、非ZDRユーザーも/privacyコマンドで保持設定の確認・過去データの削除ができると説明するが、開発者コミュニティでは「対応として十分か」への懐疑的な声も根強い。ローカル環境でファイルの読み書き・実行権限を持つAIエージェントを使う際は、通信先やデータ保持設定を事前に確認する重要性を改めて示す事例となった。

出典: The Hacker News、Tech Times

Perplexity、GLM 5.2ベースの低コスト・オーケストレーターをComputerに搭載

汎用エージェント「Perplexity Computer」向けに、中国Z.aiの公開モデル「GLM 5.2」を独自にポストトレーニングしたオーケストレーターモデルのリサーチプレビューが7月9日に公開された。多くの作業はこの軽量オーケストレーターが処理し、難易度が高いタスクだけ上位モデルに引き上げる「アドバイザー機能」を備える。Perplexity発表のコスト試算では、Opus級モデルを1.0とした場合の相対コストは約0.344倍で、ほぼ同等の性能を大幅な低コストで実現するとしている。

項目 内容
ベースモデル Z.ai「GLM 5.2」をComputer harness向けにポストトレーニング
相対コスト Opus級を1.0とした場合 約0.344倍
エスカレーション 難易度が高い作業のみアドバイザー機能で上位モデルへ委譲
ステータス リサーチプレビュー(2026年7月9日〜)

CEOのAravind Srinivas氏はCNBCの取材で、今後のAI競争の主戦場は「どのモデルを使えるか」より「タスクごとに最適なモデルへ振り分けるオーケストレーション層」と「1ワットあたりのトークン価値」に移ると述べ、中国発のオープンモデルを積極的に採用する戦略的判断についても言及した。オープンウェイトモデルの性能向上が、自社では巨大モデルを持たない企業にも独自のエージェント体験を作る余地を広げている一例と言える。

出典: CNBC「AI’s Next Race: Cost, Control, and Compute」、Digg

Metaの巨大データセンター投資、株式市場が「AI収益化」を評価し株価急伸

Meta Platformsの株価は7月に入り約17%上昇し、S&P 500構成銘柄で上位の値上がり率となった。背景にあるのは、2026年中に稼働予定の1ギガワット級データセンター「Prometheus」(オハイオ州)と、5ギガワット規模まで拡張予定の「Hyperion」を中核とする、「超知能(superintelligence)」開発に向けた大規模インフラ投資への評価だ。J.P. MorganのアナリストDoug Nowak氏は、Meta APIに割り当てるコンピュート100メガワットあたり最大80億ドルの収益・1株あたり約2ドルのEPSを2028年までに生み出しうると試算し、これまで「AI支出ばかりが目立ち収益化が評価されていなかった」局面からの転換を指摘している。2026年の設備投資ガイダンスは1,250億〜1,450億ドルとされ、広告収益に依存してきたMetaが自社AI基盤の外部提供・収益化に本格的に踏み出す動きとして注目されている。

データセンターのサーバーラック
Photo: Cory M. Grenier / CC BY-SA 2.0(Openverse経由)

出典: Bloomberg

Microsoft、Copilot Studioとエージェント群のロードマップを「Microsoft 365 Roadmap」へ統合

Microsoftは7月2日付で、Copilot StudioおよびSales Agent・Finance Agent・Service Agentといった業務特化エージェント群の機能アップデート告知先を、従来のRelease PlannerからMicrosoft 365 Roadmapに一本化すると発表した。これにより、Copilot本体とエージェント機能の更新情報を単一のロードマップで追跡できるようになる。あわせて7月中旬時点では、政府クラウド向け「GCC High」環境にもCopilot in PowerPointの提供が広がるなど、エンタープライズ・政府機関向けの展開が引き続き進んでいる。単体の新機能というより、企業の情報システム部門がAIエージェント導入を計画・追跡しやすくするための地味だが実務上重要な整理と言える。

出典: Microsoft Tech Community


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