Gemini「Flash三兄弟」投入とサイバー専用モデル——本命3.5 Proは遅延、Gemini 4が始動

Google・Gemini のアイキャッチ

2026年7月下旬、Googleは軽量モデル群を立て続けに投入する一方で、本命とされる「Gemini 3.5 Pro」は延期が続いている。今回は新モデル3兄弟の役割分担、専用サイバーセキュリティモデルの狙い、そしてスマートホーム向けGeminiの地味だが実用的なアップデートをまとめる。

Googleの複数のGeminiモデルが並ぶイメージイラスト

Gemini 3.6 Flash・3.5 Flash-Lite・3.5 Flash Cyber——3モデル同時投入の狙い

7月21日、Google DeepMindはGoogle DeepMindの公式ブログで、Gemini API向けに3つの新モデルを同時発表した。

  • Gemini 3.6 Flash——コーディング、マルチモーダル処理、エージェント的なワークフローを主眼に置いた「主力(workhorse)」モデル。前世代の3.5 Flashに比べてトークン消費を最大17%削減しつつ品質を高めたとされる。
  • Gemini 3.5 Flash-Lite——チケット分類やデータ抽出のような大量・反復タスク向けの低コストモデル。
  • Gemini 3.5 Flash Cyber——脆弱性の発見・検証・パッチ適用に特化したセキュリティ専用モデル(詳細は次項)。

いずれもGoogle AI StudioやVertex AI系のGemini Enterprise Agent Platformから利用でき、3.6 FlashはAI開発環境「Google Antigravity」でも使える。

一方で注目を集めているのは「出ていないもの」だ。上位モデルのGemini 3.5 Proは当初5月のGoogle I/Oで6月中の投入が予告されていたが、いまだ提供時期が示されていない。DeepMindのプロダクトリードLogan Kilpatrick氏は、パートナー向けにテスト中で「近く着地させたい」としつつ、次世代のGemini 4についても「これまでで最も野心的な事前学習(pre-training)を開始した」と明かしており、開発リソースの重心が次のフラグシップに移っている様子がうかがえる。

モデル 主な用途 特徴
Gemini 3.6 Flash コーディング・マルチモーダル・エージェント処理 3.5 Flash比でトークン消費を最大17%削減
Gemini 3.5 Flash-Lite 高頻度・低コストタスク クラス最安級、検索機能にも展開
Gemini 3.5 Flash Cyber 脆弱性発見・検証・修正 政府機関・提携先向けに限定提供

出典: TechCrunch、Google公式ブログ、Reuters

専用モデル「Gemini 3.5 Flash Cyber」——防御側のためのAI

サイバーセキュリティのコードを表すイメージ写真
Photo: Visual Content / CC BY 2.0(Openverse経由)

3.5 FlashをベースにファインチューニングされたGemini 3.5 Flash Cyberは、脆弱性を「見つける・検証する・パッチを当てる」までを高速かつ低コストにこなすことを狙ったモデルだ。Google DeepMindのブログによれば、Chromiumのような大規模プロジェクトの実コードを読み込ませ、業界標準のセキュリティツールを実際に操作させる訓練を行っており、合成データだけに頼らない「実務者の動き方」を学習させている点が特徴という。

単純なモデルは同じ問題を繰り返し発見して重大な脆弱性を見逃しがちだが、3.5 Flash Cyberは呼び出し回数を増やすほど新しいコードパスや脆弱性を発見し続けるとしている。デュアルユース(攻撃にも転用され得る)技術であるため、提供は当面、政府機関や信頼できるパートナーに限定される。

出典: Google DeepMind公式ブログ

「Gemini for Home」も静かにアップデート——会話の記憶が15分に

スマートホーム領域でも動きがあった。7月23日、Googleはスマートスピーカー・ディスプレイ向けの音声アシスタント「Gemini for Home」とGoogle Homeアプリのアップデートを展開した。目玉は会話の文脈を保持する「Conversational Memory」の拡張で、前置きなしに続けて話しかけられる時間窓がGemini for Home全体で15分に広がった。

あわせて、対話型の「Gemini Live」(「Hey Google, let’s chat」で起動)が、これまで非対応だった初代Google Home MiniやNest Hubにも展開された。Home Premiumのサブスクリプション加入者であれば、旧世代のデバイスでも自然な会話体験を利用できるようになる。派手な新モデル発表の裏で、既存ユーザー体験を底上げする地道なアップデートが進んでいる形だ。

出典: 9to5Google、Android Police


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