Kimi K3・DeepSeek V4・Qwen 3.8 Max――2026年7月、オープンソース系LLMが一斉に大型更新

オープンソースLLM のアイキャッチ

2026年7月中旬から下旬にかけて、オープンウェイト系の大規模言語モデルが立て続けに大型アップデートを迎えた。中国勢はMoonshot AIのKimi K3(2.8兆パラメータ)とAlibabaのQwen 3.8 Max(2.4兆パラメータ)がほぼ同時期にプレビューを公開し、DeepSeekはV4を正式版(GA)へ移行。欧州勢もMistral AIが新しいオープンウェイトモデルの早期アクセスを予告し、Microsoftとの主権AI(ソブリンAI)提携を拡大した。あわせて、ローカル実行を支えるUnslothの量子化ツール群も着実に進化している。今回はこの5つの動きを整理する。

オープンソースLLMのイメージイラスト

Kimi K3——「3兆パラメータ級」を掲げるMoonshotの新フラッグシップ

中国のMoonshot AIは7月17日、新フラッグシップモデルKimi K3を発表した。総パラメータ数は2.8兆(公称は「3兆パラメータ級」)で、DeepSeek V4 Pro(約1.6兆)を上回る規模となる。現時点ではkimi.comのチャットやkimi-k3としてAPI経由での利用のみ可能で、オープンウェイト(重みファイル)の公開はModified MITライセンスのもと7月27日を予定している。価格は入力100万トークンあたり3ドル、出力15ドルとClaude Sonnet系に近い水準で、中国のAIラボが出した中では最も高価格帯のモデルとなった。自己申告のベンチマークではClaude Opus 4.8やGPT-5.5を上回る場面がある一方、Claude Fable 5やGPT-5.6 Solには及ばないとされる。1Mトークンのロングコンテキストとツール呼び出し、画像入力に対応し、OpenRouter経由でも利用できる。

出典: Simon Willison’s Substack、Kimi K2 Hub

DeepSeek V4がGA(正式版)へ——旧モデルIDは7月24日で退役

DeepSeekは、プレビュー公開していたV4を7月24日付で正式版(General Availability)に移行すると発表した。これに伴い、旧モデルIDのエイリアスは同日で完全に廃止され、対応していないアプリはAPI呼び出しが失敗する可能性がある。今回新たに導入されるのがピーク時間帯・オフピーク時間帯で価格を変える「サージプライシング」で、時間帯によってAPIコストが変動する仕組みは同社として初めてとなる。個人利用のWebチャットは引き続き無料。DeepSeek V4 Flashは主要なAI APIとして6週連続で最も呼び出し回数の多いモデルになったとも報じられている。

出典: TechNode

Qwen 3.8 Max——Alibaba初の1兆パラメータ超マルチモーダルモデル

Alibabaは7月19日、Qwenシリーズの新フラッグシップ「Qwen 3.8 Max」のプレビューを公開した。総パラメータ数2.4兆のスパースMixture-of-Expertsモデルで、同社として初めて1兆パラメータを超えるマルチモーダルモデルとなる。発表を受けてAlibaba株は上昇し、AIコーディングや高度推論の分野で競争が一段と激化しているとBloombergなどが報じた。オープンウェイトでの公開も示唆されており、DeepSeek V4やKimi K3と並ぶ「中国製巨大モデル」競争の一角として注目されている。

出典: Bloomberg

サーバーラックの写真
Photo: sfllaw / CC BY-SA 2.0(Openverse経由)

Mistral——新オープンウェイトモデルを予告、Microsoftとの主権AI提携も拡大

欧州のMistral AIのCEO Arthur Mensch氏は、今夏に新しいオープンウェイトモデルを投入し、7月中に主要パートナー向けの早期アクセスを開始すると明らかにした。現行フラッグシップのMistral Large 3(675B総パラメータ/41Bアクティブ、Apache 2.0ライセンス)に続く「フロンティア級」を狙う位置づけとされる。同時期には、MicrosoftとMistralが提携を拡大し、Mistral Medium 3.5とOCR 4をMicrosoft FoundryおよびCopilot Studioに統合、欧州域内のGPU拡張とあわせて「Azure Local」でのオフライン運用も可能にする主権AI(ソブリンAI)提携を発表した。政府機関や重要インフラ事業者など、データ管理を厳格に行いたい組織を主な対象としている。

出典: Tech Times、PYMNTS

ローカル実行編:Unslothの動的量子化がDeepSeek V4・Qwen3.6にも対応

ローカルLLM実行を支えるUnslothは、独自の「Dynamic」量子化GGUFで巨大モデルの実行ハードルを下げ続けている。最新の変更履歴では、DeepSeek-V4-Flashの思考(Thinking)トグル対応やチャットテンプレート修正、NVFP4/FP8/imatrix形式でのGGUF書き出し、MoEモデルの学習高速化(3〜5倍)などが追加された。llama.cppをベースにしたローカルAPIサーバー機能も強化されており、モデル切り替えの安定性が向上している。Qwen3.6ではNVFP4量子化によりGPU推論が最大2.5倍高速化したと報告されており、量子化とハードウェア最適化の両輪でローカルLLMの実用性が高まっている状況だ。

出典: Unsloth Changelog

主要モデル比較(2026年7月時点)

モデル 提供元 総パラメータ コンテキスト 公開状況 API価格(入力/出力・100万トークン)
Kimi K3 Moonshot AI 2.8兆 1M API提供中、重み公開は7/27予定 $3 / $15
DeepSeek V4 Pro/Flash DeepSeek 約1.6兆 非公開 GA移行(7/24) サージプライシング導入
Qwen 3.8 Max Alibaba 2.4兆 非公開 プレビュー公開 未公表
Mistral Large 3(現行) Mistral AI 675B(41B active) 256K オープンウェイト(Apache 2.0) $0.50 / $1.50

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