商品パッケージやロゴ入りアイテムを「同じ見た目」で量産する——参照画像・シード・要素ライブラリで保つプロダクト一貫性プロンプト講座

一貫性・参照画像 のアイキャッチ

「一貫性・参照画像」というと、まず思い浮かぶのはキャラクターの顔や服の同一性かもしれません。しかし実務でよく困るのは、むしろ「モノ」の見た目です。化粧品のボトル、スニーカー、パッケージのロゴ——これらを複数カットの広告ビジュアルや商品紹介動画で作るとき、少しでもラベルの文字やロゴの形が崩れると台無しになります。今回は、Nano Banana Pro・Seedream・FLUX.1 Kontext・Kling Elementsといった参照系機能を使い、商品・パッケージの見た目を崩さずに量産するプロンプトの書き方を、自作の作例で解説します。

AI画像・動画生成のイメージイラスト

なぜ「モノ」の一貫性は難しいのか

キャラクターの顔と違い、商品はラベルの文字・ロゴの角度・色の彩度がわずかでもズレると「別物」に見えてしまいます。多くのモデルは参照画像を「雰囲気の元ネタ」として扱いがちで、指示を曖昧にすると生成のたびにロゴの書体やパッケージの折り返し位置が変わってしまいます。ポイントは、「変えたい部分」と「絶対に変えたくない部分」を分けて明示することと、参照画像そのものを毎回同じものに固定することの2つです。以下、4つのツールで実際に使えるプロンプトを見ていきます。

作例1:Nano Banana Pro でスキンケアボトルをECギャラリー用に4パターン展開

①狙い:同じ化粧品ボトルの写真を参照画像として渡し、背景とアングルだけを変えた商品ギャラリー用カットを量産する。Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)はオブジェクト参照・キャラ参照・スタイル参照を組み合わせられ、公式ドキュメントによればオブジェクトは最大6枚、キャラクターは最大5人分の同一性を1つのワークフロー内で保持できます。

Using the attached product photo as the exact object reference, generate a new e-commerce gallery image of the same amber glass skincare bottle with the same label text, cap shape, and proportions. Place it upright on a wet marble surface with soft morning window light from the left, a few water droplets on the glass, and a blurred eucalyptus branch in the background. Keep the label fully legible and unchanged. Shot on a 100mm macro lens, shallow depth of field, clean minimal composition, ratio 4:5.

③分解解説:冒頭の「Using the attached product photo as the exact object reference」で、参照画像を「雰囲気」ではなく「同一物体」として扱わせています。「same label text, cap shape, and proportions」と具体名詞で列挙するのは、Nano Banana Proが参照を弱く解釈しがちな要素(文字・輪郭)をピンポイントで固定するためです。最後に変えてよい要素(背景・光・アングル・レンズ)だけをまとめて指定することで、「固定する情報」と「変化させる情報」の境界を曖昧にしません。

作例2:Seedream のマルチリファレンスで、靴とロゴ入りバッグを1枚に合成

①狙い:2つの異なる商品(スニーカーとトートバッグ)を、それぞれの参照画像を保ったまま1枚の秋の街撮り風フラットレイに合成する。Seedream 4.0は複数の参照画像からキャラクター・シーンスタイル・オブジェクト構造を抽出して合成するマルチリファレンス編集に対応しています。

Reference image 1 is a white and red running shoe with a stitched brand logo on the side. Reference image 2 is a canvas tote bag with the same logo printed on the front. Combine both exactly as shown -- do not alter the logo, stitching, or color blocking -- into a single autumn street-style flat lay: the shoe placed diagonally next to the tote bag on wet asphalt with fallen maple leaves, overcast daylight, muted warm palette, top-down composition, ratio 3:4.

③分解解説:「Reference image 1 is」「Reference image 2 is」と参照ごとに役割を明言しているのは、複数参照モデルに「どちらの画像がどの被写体か」を取り違えさせないためです。「do not alter the logo, stitching, or color blocking」は否定形での明示的ロックで、ブランド資産(ロゴ)が生成のたびに微妙に崩れるのを防ぎます。シーン側の描写(季節・路面・光・配色)だけを詳しく書き、商品側の描写を最小限にすることで、モデルが変えてよい範囲を自然と絞り込めます。

作例3:FLUX.1 Kontext でパッケージそのままに背景だけ差し替える

①狙い:コーヒーパッケージの写真から、ラベルやロゴを一切変えずに背景だけをロースタリー風の木製カウンターに差し替える。FLUX.1 Kontextはテキスト指示だけで既存画像を編集するモデルで、公式ブログによれば複数回の連続編集でもキャラクターやオブジェクトの同一性をほぼ崩さず保持できます。

Keep the coffee bag, its label text, embossed logo, and zipper exactly as in the input image. Replace only the background: place the bag on a reclaimed oak counter inside a small-batch roastery, with a burlap sack and scattered coffee beans slightly out of focus behind it, warm tungsten lighting from the right. Do not change the bag's shape, color, or any printed text.

③分解解説:Kontextは「差分編集」モデルなので、最初に「Keep … exactly as in the input image」で固定すべき要素を宣言してから、「Replace only the background」と変更範囲を限定する順番が効きます。文末で再度「Do not change the bag’s shape, color, or any printed text」と否定形で念押ししているのは、局所編集モデルほど変更対象を狭く言い切ることでドリフト(意図しない微変化)を抑えられるためです。同じ指示の「roastery」部分だけを「grocery shelf」「farmers market table」に差し替えれば、同じパッケージのまま複数シーンのカット一式を作れます。

作例4:Kling Elements で商品ターンテーブル動画を作る

①狙い:静止画1枚のマグカップを、ラベルや釉薬の色が動画中にブレない360度ターンテーブル風ショーケース動画にする。Kling Element Libraryは被写体・アイテム・シーンを「要素」として登録し、同じ参照画像を使い回すことで一貫性を強める仕組みです。

Using the uploaded product image of the ceramic mug as the fixed element reference, animate a slow 360-degree turntable rotation on a dark reflective surface with a single soft key light from top-left. Camera stays static; only the mug rotates. Duration 5 seconds, no camera shake, no change to the mug's glaze color or logo print, aspect ratio 9:16.

③分解解説:「as the fixed element reference」という言い回しは、Klingが同じ参照画像を繰り返し使うほど同一性が安定するという仕様に沿っています。「Camera stays static; only the mug rotates」と動く主体を1つに限定しているのは、カメラと被写体の両方を同時に動かす指示が入ると、モデルが商品側の見た目まで一緒に変形させやすいためです。尺とアスペクト比を明記しているのは、ショート動画プラットフォームへそのまま入稿できる完成形にするためです。既存動画の一部だけを商品差し替えしたい場合は、Runway Aleph 2.0のようにキーフレーム画像を渡して動画そのものを編集するアプローチも有効です。

参照・一貫性まわりの主なパラメータ早見表

ツール 参照の仕組み 主な上限・パラメータ 効かせるコツ
Nano Banana Pro オブジェクト参照/キャラ参照/スタイル参照 オブジェクト最大6枚・キャラ最大5人・合計14枚まで 参照は2〜4枚の高品質画像に絞り、一度に変える要素は1つにする
Seedream 4.0系 マルチリファレンス編集 参照画像を役割ごとに複数枚指定可能 各参照画像に番号や役割名を付けて取り違えを防ぐ
FLUX.1 Kontext 指示文ベースの差分編集 単一画像+テキスト指示、反復編集 「保持する要素」を先に言い切ってから「変更点」を書く
Ideogram Character Reference 顔・髪を自動マスクして固定 Character Reference+Style Referenceの併用可 マスコットやパッケージキャラクターの固定にも応用できる
Kling Element Library 被写体・アイテム・シーンを要素として保存 1〜4枚のマルチアングル参照画像 毎回同じ参照画像・同じ言い回しの説明文を使い回す
Runway Aleph 2.0 動画そのものを指示文+参照フレームで編集 入力動画2〜30秒、キーフレーム画像最大5枚 元動画のカメラワークを保ったまま商品や背景だけ差し替える
Midjourney –seed によるノイズ固定 V8.x系でseedの再現性が大幅改善 seed単体では弱いため参照画像系パラメータと組み合わせる

主な情報源

サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。