2026年8月下旬から9月上旬にかけて、画像・動画・音声の生成AIでは「素材をどう仕上げるか」に焦点が移りつつあります。Runwayは映像をHDRへ変換する専用モデルを投入し、Midjourneyは会話的な指示で画像を編集できるモデルをアルファ公開。Lumaはフレーム単位で演出を指定できる新モデルをAPIとともに公開し、音声分野ではElevenLabsが複数モデルを横断する制作キャンバスを、Sunoが次世代モデルへの移行を発表しました。マルチモデル活用サービスHiggsfieldの大型資金調達も業界の勢いを示しています。

Runway「Ruby」——生成映像をそのままHDRへ変換
Runwayは2026年8月21日、SDR(標準ダイナミックレンジ)の映像を最大16bitのHDRへ変換する専用モデル「Ruby」を発表しました。ProRes・EXR形式に対応し、既存のアップロード映像だけでなくRunway自身が生成した映像(最大30秒)にもそのまま適用できます。ニューラルな逆トーンマッピングによって輝度構造を解析し、色味のドリフトを抑えながらSDRの8bit階調をHDRの範囲へ展開する仕組みで、BT.2020色域・PQ/HLGガンマに対応するなど映画・VFX制作の現場を意識した設計です。現在はMaxプランおよびEnterprise向けに、Tool Mode・Workflows・Runway Devから利用できます。
Midjourney、会話的な指示で画像を直せる新編集モデルをアルファ公開
Midjourneyは8月27日、V8.2向けの新しい「Edit Model」を全ユーザーのテスト向けに開放しました。画像をライトボックスで開くと専用エディタが立ち上がり、平易な言葉の指示だけで部分修正ができるほか、参照画像を最大4枚まで同時に指定して新しい画像を生成できます。従来のOmni Reference・Character Reference・Retextureツールを統合した位置づけで、指示ベースの編集・複数参照からの生成・特定領域の書き換え(インペインティング)やキャンバス拡張(アウトペインティング)・パーソナライズ機能を一つの画面にまとめました。Discord上では--edit url...コマンドでも利用可能で、9月2日付のアルファ版チェンジログでは細かな不具合修正も続けて行われています。

Luma「Ray3.2」——最大16個のキーフレームで映像を“演出”する
Luma AIは動画生成モデル「Ray3」シリーズの最新版「Ray3.2」を発表しました。最大の特徴は複数キーフレーム機能で、1つのクリップ内に最大16個のキーフレームをタイムライン上に配置し、それぞれの瞬間の見た目を指定すると、モデルがその間の動きを補間します。単なるプロンプト入力から一歩進み、監督のようにカット単位で演出を組み立てられる点が売りです。HDR生成とEXR出力にも対応し、1080pで最大20秒のクリップを生成可能。今回初めてAPIとしても公開され、企業や開発者が自社製品に映像生成機能を組み込めるようになりました。
出典: Luma AI 公式発表
ElevenLabs「Flows」——音声・画像・動画モデルを横断する制作キャンバス
ElevenLabsは画像生成・動画生成・音声合成・リップシンク・効果音・音楽生成を1つのビジュアルキャンバス上でつなぐ新機能「Flows」を公開しました。Veo・Sora・Kling・Wan・Flux・Seedanceなど外部の画像・動画モデルと、Text to Speech(v3含む)・音声クローン・音楽生成といった自社の音声スタックを組み合わせて、広告制作やローカライズ、ポッドキャスト制作までを1つのワークフローで完結できます。8月17日には非同期のFlows APIも追加され、動画・画像・音声の生成をpending/generating/completed/failedといった状態で管理しながら、Webhookで結果を受け取れるようになりました。あわせてSDK(v2.64.0)にもclient.flowsが追加されています。
出典: ElevenLabs Blog
Suno、次世代モデルへ移行——9月3日からダウンロード制限も開始
音楽生成AISunoは、音楽業界と提携して開発中の次世代モデル群が「これまでのあらゆる指標を上回る」性能になると予告しました。新モデルの投入時には旧モデルが順次退役する見込みです。これに先立ち9月3日からは利用プランに応じたダウンロード数の制限が始まり、上限を超える分は追加購入が必要になりました(Suno Studioを使うPremierプランは無制限)。すでに作成済みの楽曲はライブラリに残り、再生・共有・カバーやリミックスの素材としての利用は引き続き可能です。背景にはWarner Music Groupとの提携があり、ライセンス楽曲に基づくモデル開発とアーティストの声を使ったボイスクローン機能の展開が進められています。
出典: Suno Blog
Higgsfield、シリーズBで540億円調達——30以上のモデルを横断する“生成AIのハブ”に
複数の画像・動画生成モデルを1つのサブスクリプションで使えるプラットフォームHiggsfieldが、8月中旬に4億ドル(約540億円)のシリーズB資金調達を評価額54億ドルで完了したと発表しました。年換算売上高は1年前の約2000万ドルから約7億ドルへ急増したといいます。同社は2026年中に対応モデルを15から30以上に拡大し、Sora 2・Veo 3.1・Kling 3.0・Seedance 2.0・WAN 2.6・MiniMax Hailuo 02などを1つのワークスペースで使えるほか、ネイティブなリップシンクやマルチショット編集ツールも追加しました。9月には学校やNPO向けに教材の多言語ローカライズを支援する「Higgsfield For Good」も始動し、7万人の学生と1.3万人の教育者を支援するとしています。
出典: PR Newswire
今回取り上げたトピックの比較
| サービス | 分野 | 今回のトピック | 発表時期 |
|---|---|---|---|
| Runway Ruby | 映像後処理 | SDR→HDR変換モデル | 2026年8月21日 |
| Midjourney | 画像編集 | Edit Model アルファ公開 | 2026年8月27日〜 |
| Luma Ray3.2 | 動画生成 | 最大16キーフレームの演出制御・API公開 | 2026年8月 |
| ElevenLabs Flows | 音声・画像・動画統合 | 制作キャンバス+非同期API | 2026年8月17〜24日 |
| Suno | 音楽生成 | 次世代モデル予告・ダウンロード制限開始 | 2026年9月3日 |
| Higgsfield | マルチモデル基盤 | シリーズB 4億ドル調達 | 2026年8月中旬 |
主な情報源
- Runway Help Center — Creating HDR videos with Runway Ruby
- Midjourney Updates — Edit Model for V8
- Luma AI — Introducing Ray3.2
- ElevenLabs Blog — Introducing Flows
- Suno Blog — An update to our downloads policy and Terms of Service
- Suno Blog — A new chapter in music creation (WMG partnership)
- PR Newswire — Higgsfield Series B announcement
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