日曜は基礎の日。今回は「動く・押す・読む」の3点に絞り、WCAG 2.2の新基準、モーション配慮、レスポンシブの最小セットを、AIにUIを作らせるときのチェックリストとしてまとめます。

なぜ「基礎」をAI時代に見直すのか
v0やLovableのようなAIサイトビルダーやClaudeは、見た目の整ったUIを素早く出力します。ただ、フォーカスの見え方、タップ領域、動きの抑制といった点は、指示しないと抜けがちです。人が最終チェックする基準を持っておくと、生成物の手直しが速くなります。
1. 押せる大きさ:WCAG 2.2のターゲットサイズ
WCAG 2.2では、達成基準2.5.8(AA)が追加されました。操作対象は原則24×24 CSSピクセル以上が目安で、十分な間隔があれば小さくても満たせます。44×44px(2.5.5)はAAAの別基準です。
- アイコンだけのボタンは、見た目が小さくてもクリック可能領域に余白(padding)を含める。
- 見た目だけの余白は反応領域にならないので注意。
- 固定ヘッダーがキーボードフォーカス中の要素を隠さないか確認する(2.4.11)。
- ドラッグ操作には、タップやボタンによる代替手段を用意する(2.5.7)。
2. 動きの配慮:prefers-reduced-motion
パララックスや大きな拡大・パンは、前庭障害のある人に不快感を与えることがあります。prefers-reduced-motionでOS設定を検知し、動きを減らす・置き換える対応ができます。web.devの解説も参考になります。
@media (prefers-reduced-motion: reduce) {
.hero { animation: none; }
.card { transition: opacity .2s; } /* 拡大や移動はやめてフェードのみ */
}
「減らす」は「ゼロにする」とは限りません。拡大・回転・波のような動きをフェードや色変化に置き換えると、演出の意図を保てます。自動再生で長く続く動きには、一時停止などの操作手段も必要です(web.dev: Animation and motion)。
3. 読める色:コントラストの目安
| 対象 | AA | AAA |
|---|---|---|
| 通常テキスト | 4.5:1 | 7:1 |
| 大きい文字(24px以上、または太字19px以上) | 3:1 | 4.5:1 |
| UI部品・アイコン(非テキスト) | 3:1 | — |
WCAGの比率は文字サイズや太さを考慮しないため、知覚ベースの指標APCAも議論されています。現時点の法令・規格の基準はWCAGの比率です。薄い色が主役のブランドカラーなら、暗いシェードを用意して4.5:1を確保しておくと、ボタンなどに安全に組み合わせられます(解説記事)。
4. 画面幅に合わせる:レスポンシブの最小セット
2026年のレスポンシブは、ページ構造にはメディアクエリ、部品にはコンテナクエリ、文字や余白にはclamp()、ブレークポイント不要の配置にはGridを組み合わせる形が基本です(Scrimba)。コンテナクエリは2025年8月からBaseline Widely availableとされています。
h1 { font-size: clamp(1.75rem, 1.2rem + 2.5vw, 3rem); }
.card-wrap { container-type: inline-size; }
@container (min-width: 480px) {
.card { display: grid; grid-template-columns: 160px 1fr; }
}
文字サイズはrem基準にして、ブラウザのズームや200%拡大でも崩れないか確認します。確認幅は320px、768px、1440pxが目安です。
AIにUIを作らせるときのチェックリスト
- ボタンやリンクの反応領域が24px以上か。
- Tabキーで全操作でき、フォーカスが見えて隠れないか。
- アニメーションにreduced-motion対応があるか。
- 文字と背景のコントラストが4.5:1以上か。
- 320px幅で横スクロールが出ないか。
これらは、プロンプトに「WCAG 2.2 AA準拠、prefers-reduced-motion対応、clampで可変文字」と一文添えるだけでも改善しやすくなります。最後は人の目とキーボード操作で確認してください。
主な情報源
- W3C: Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2
- IAAP Audit: WCAG 2.2 Target Size
- web.dev: prefers-reduced-motion
- web.dev: Animation and motion
- MDN: prefers-reduced-motion
- Scrimba: Responsive Web Design Guide 2026
- Capellic: Accessible Colors, WCAG to APCA
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