2026年8月最初の週、Googleの生成AI戦略で最も大きな動きは検索そのものの変化だった。7月10日、Google検索は世界中の全クエリでGemini 3.5 Flashによる生成AI回答を既定の表示形式にし、伝統的な「青いリンク」の10本リストは主役の座を降りた。並行してNotebookLMが「Gemini Notebook」に改称、Workspace各アプリのAI統合も進む一方、フラッグシップモデル「Gemini 3.5 Pro」の遅延は3度目の延期を迎えている。今週のGoogle/Gemini関連トピックを整理する。

Google検索、生成AI回答が全世界でデフォルトに
Googleは7月10日、Google検索の全クエリに対してGemini 3.5 Flashによる生成AI回答をデフォルト表示にしたと発表した。従来オプトインだった会話型の「AI Mode」だけでなく、通常検索でも生成AIの文章回答が最初に表示され、伝統的なリンク一覧は折りたたみ表示に回る形になった。同社によれば「AI Mode」の月間利用者はすでに10億人を超え、四半期ごとにクエリ数が倍増するペースで伸びているという。
技術面では、Gemini 3.5 Flashが検索結果を文章に要約し、新しいエージェント開発基盤「Google Antigravity」が回答をシミュレーションや計算ツールなど対話的なレイアウトに組み立てる仕組みになっている。画像・動画・ファイルを検索クエリに直接添付できる機能も拡張され、壊れた家電の写真から修理方法を尋ねるといった使い方も想定されている。サイト運営者にとっては「クリックされること」から「AIの回答内で引用されること」へと最適化の重心が移ることを意味し、SEO業界でも大きな話題になっている。
出典: Google公式ブログ「A new era for AI Search」
NotebookLMが「Gemini Notebook」に改称、コード実行機能も
Google Labsは7月16日、リサーチツール「NotebookLM」を「Gemini Notebook」に改称すると発表した。Google Labs担当VPのJosh Woodward氏は「単独プロダクトとしての性格は変わらないが、Googleのエコシステム全体でより多くの役割を担うようになる」と説明している。名称・ロゴの変更は今後数週間かけて段階的に反映される見込みで、既存のリンクはリダイレクトされるためサービス終了ではない。
改称と同時に、ノートブック内で直接コードを実行できる新機能も発表された。データ分析用途での利用が想定されており、Ultraプランと対象のWorkspaceビジネスユーザー向けにまず提供され、Pro向けのウェブ提供は今後数週間で拡大するとされている。またGoogle検索やGeminiアプリとの間でノートブックを同期する機能も予告されており、リサーチ内容を複数のGoogle製品間で持ち歩けるようになる方向性が示された。
出典: Google公式ブログ「NotebookLM is now Gemini Notebook」
Google Workspace、Gemini統合をじわじわ拡大
7月のWorkspace Updatesでは、Google Sheetsでのコンボチャート作成対応や、Sheets内Geminiの対応言語が11言語追加されるなど地道なアップデートが相次いだ。Docsでは選択したファイルや資料を踏まえて文章を生成する「グラウンデッド・ライティング」、文体やフォーマットを既存文書に合わせる「Match Writing Style」「Match Doc Format」が導入され、Drive内検索でもファイル一覧の代わりに複数ソースを横断した直接回答を返す「AI Overviews」やAsk Geminiが使えるようになっている。
教育・法人向けの管理機能としては、Workspaceのビジネス・教育アカウントでGeminiアプリのプロフィール表示に組織のロゴを表示できるようになった。地味な変更だが、個人アカウントと業務アカウントの切り替えを視覚的に区別しやすくする狙いがある。企業向けの「Gemini Enterprise」でも、Gemini 3.6 Flashのワークフローエージェントへの追加や、リージョンによるGemini 3.5 Flashの提供終了(8月4日予定)などリリースノートの更新が続いている。
| 製品 | アップデート内容 |
|---|---|
| Google Sheets | コンボチャート対応、Gemini in Sheetsが11言語追加 |
| Google Docs | グラウンデッド・ライティング、文体/フォーマット自動一致 |
| Google Drive | AI Overviews、Ask Geminiによる横断検索 |
| Gemini Enterprise | Gemini 3.6 Flashのワークフローエージェント対応拡大 |
出典: Google Workspace Updates 公式ブログ

フラッグシップ「Gemini 3.5 Pro」、遅延は3度目に
一方で明暗が分かれているのがフラッグシップモデル「Gemini 3.5 Pro」だ。当初6月投入とされていたが、7月17日の目標も過ぎ、8月に入っても正式なリリース日は示されていない。Google DeepMindは同モデルについて社内の性能目標を満たせていないことを認めており、代わりに7月21日には「Gemini 3.6 Flash」「Gemini 3.5 Flash-Lite」「Flash Cyber」の3モデルを投入するにとどまった。
報道によれば、Gemini 3.5 Proは200万トークンの拡張コンテキストと「Deep Think」推論モードを備え、新しい事前学習から再構築されたモデルになる見込みという。現在はパートナー企業向けのテストが続いている段階で、正式な提供時期は「準備が整い次第」とされるにとどまる。並行して次世代の「Gemini 4」もすでに事前学習段階に入っているとされ、リソース配分の難しさがうかがえる状況だ。
出典: MindStudio「Google Shipped Three Gemini Models at Once」
主な情報源
- Google公式ブログ「A new era for AI Search」
- Google公式ブログ「Gemini 3.5: frontier intelligence with action」
- Google公式ブログ「NotebookLM is now Gemini Notebook」
- Google Workspace Updates 公式ブログ
- Gemini Enterprise release notes
- MindStudio「Google Shipped Three Gemini Models at Once」
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