「ChatGPTでツールが作れました」「Claude Codeで動くものができました」。最近、こういう相談がぐっと増えました。そして、そのほとんどが同じところで止まります。自分のパソコンの中(ローカルホスト)では動くのに、その先へ進めないのです。
AIのおかげで「作る難易度」は一気に下がりました。でも「運用する難易度」は、ほとんど下がっていません。
壁の位置が一段ずれた
少し前まで、つまずく壁はもっと手前にありました。
- そもそも作れない
- プログラムが書けない
- 外注しないと無理
今はChatGPT、Claude Code、Cursor、Difyやn8nで、誰でも形にできます。すると壁の位置が一段先へずれて、新しい問題が見えてきました。
ローカルでは動いたけど、その先が分からない。
「作れた」あとに続く長い道のり
作ってから世の中に出すまでには、だいたい4つの段階があります。
ステップ1:ローカル開発。 ここはAIで簡単です。Pythonで書く、Node.jsで書く、Difyで組む、MCPを作る。手元で動かすところまでは、すぐにたどり着けます。
ステップ2:公開。 ここで急に難しくなります。VPS、Docker、Nginx、SSL、ドメイン、DNS、Firewall。知らない言葉が一気に並びます。
ステップ3:運用。 さらに難しい段階です。バックアップ、障害対応、アップデート、セキュリティ、ログ監視。動かし続けるだけで手間がかかります。
ステップ4:事業化。 もっと難しいところです。課金、会員管理、利用規約、プライバシーポリシー、問い合わせ対応。技術とは別の知識が必要になります。
「作れた=サービスにできる」ではない
中小企業ほど「AIで作れた=サービスにできる」と考えがちです。でも実際の手間は、ざっくりこのくらいの比率になります。
- 開発 20%
- 公開 20%
- 運用 30%
- 集客 30%
作る部分は、全体の5分の1ほど。残りの8割は、公開してからの世界です。
これから価値が上がる人
だからこれから価値が上がるのは、プログラムを書ける人より「ローカルで作ったものを、事業として動かせる人」だと思います。
私たちが日常的に触っているのは、Dify、Firecrawl、Gemini、EC-CUBE、WordPress、LINE Bot、VPS、DNS、メールまわり。多くのAI利用者がつまずくのが、まさにこのあたりです。
AIでチャットボットを作る人は増えました。でも、サーバーに公開して、ドメインをつないで、SSLを設定して、お客様向けに運用して、課金まで回せる人は、まだ少ないのが実感です。
需要は「公開支援」へ移っていく
ここから伸びるのは「AI開発支援」より「AIサービス公開支援」だと見ています。企業が本当に困っているのは、「ChatGPTで作れたんだけど、これどうやって世の中に出すの?」という部分だからです。
Web制作会社にとって、これは仕事が減る局面ではありません。「サイト制作会社」から「AIサービス実装会社」へ移り変わる時期です。サーバー・Web・EC・AIを横断して扱える会社は、これから数年で価値が高まっていくと思います。
ローカルホストから、その先へ。そこを越える手伝いが、これから一番求められる仕事になりそうです。