今週は「複数の参照素材をどう扱うか」が動画生成AIの焦点になった一週間でした。Klingは1〜4枚の画像を「エレメント」として登録しキャラや小道具を差し替えても崩れない仕組みを拡張し、xAIのGrok Imagineは静止画1枚から音声付きの動きを生成する新モデルをプレビュー公開。ByteDanceのSeedance 2.0は4K出力に対応し、Runwayは複数モデルを1つの画面で横断利用できる体制を強めています。すぐ試せる一言プロンプトと合わせて要点をまとめます。

1. Kling AIの「Elements(エレメント)」――複数の参照素材で崩れないシーンを作る
Kling AIの「Elements」は、人物・動物・小道具・背景などを1〜4枚の画像として個別に登録し、それらを組み合わせて1本の動画にする機能です。Kling 3.0の「Element Library」ではさらに、多角度の参照画像から自動で3D的な人物像を補完したり、キャラクターに固有の声を紐付けたりできるよう拡張されています。
①狙い:「赤いコートの女性」「アンティーク自転車」「濡れた石畳の広場」という3つの独立した素材を組み合わせ、初対面の要素同士でも自然に馴染んだ1カットを作る。
Using the three reference elements — the woman in the red coat, the vintage bicycle, and the wet cobblestone square at golden hour — show her wheeling the bicycle across the square as a flock of pigeons scatters ahead of her. Camera: slow lateral tracking shot at eye level, shallow depth of field, warm rim light on her shoulders.
③分解:プロンプトの前半でどのエレメントを使うかを明示しているのがポイントです。Elements機能は「この画像とこの画像を今回は使う」と選択してから文章で関係性を書く方式なので、プロンプト内でも登場順に素材を並べ直しておくとモデルが対応付けを取り違えにくくなります。カメラワークと光の指定は最後に独立させ、素材同士の関係(誰が何をどう動かすか)と画作りの指定を分けて書くと崩れが減ります。
2. Grok Imagine 1.5(xAI)――静止画+一文で「音付きの動き」を生成
xAIが公開した「Grok Imagine 1.5」プレビューは、1枚の静止画とカメラワーク・動き・雰囲気を説明する短い文章から、被写体の見た目と光を保ったまま動画化するimage-to-videoモデルです。xAIの開発者ドキュメントによれば映像と音声(環境音・BGM・効果音)を同時に生成できる点が特徴とされています。
①狙い:1枚のカフェの写真から、湯気・雨・環境音まで含んだ短い雰囲気カットを作る。
Slow push-in on the ceramic mug as steam curls upward and rain streaks blur the café window behind it. Add the soft clatter of spoons and quiet jazz piano drifting from another table, matching the unhurried pace of the camera move.
③分解:image-to-video系のモデルは「元画像に写っていないもの」を動きの主役にしない方が安定します。ここでは元画像にある湯気・窓・マグカップを起点にしつつ、音の指定(clatter of spoons/quiet jazz piano)をカメラワークの説明と同じ文の中に混ぜず、後半で独立した一文として添えているのがコツです。音と映像の指示を分けて書くと、モデルが両方を同じ重みで拾いやすくなります。
3. Seedance 2.0が4K出力に対応、Seedance 2.5は30秒生成を予告
ByteDanceは自社クラウド事業のVolcano Engineが開催した「FORCE」カンファレンスで、既存モデルのSeedance 2.0を4K出力に対応THE DECODER、TNW)。Seedance 2.5は本稿執筆時点ではエンタープライズ向けベータの段階で、一般提供の時期は明言されていません。
①狙い:4K出力が生きる、静止に近い商品カットで質感を見せる。
A 4K product hero shot in a dark studio: a frosted glass perfume bottle rotates slowly on a black glass pedestal under a single overhead spotlight. Fine dust motes drift through the light beam. Camera holds a static frame for a clean 10-second loop, no camera movement.
③分解:4K・高解像度が効果を発揮するのは、動きが少なく質感やディテールをじっくり見せるカットです。あえて「カメラは動かさない(no camera movement)」と明記し、被写体側の動き(回転、塵の漂い)だけに変化を絞ることで、解像度が上がった分の情報量を細部の質感表現に使わせています。
4. Runway――1つの画面で複数モデルを横断利用
Runwayの製品ページには、Seedance 2.0・Kling 3.0・Seedream 5.0・Nano Banana Pro・Gemini Omniなど複数社のモデルが並び、同じワークフロー内でモデルを切り替えて使える構成になっています。同じプロンプトを異なるモデルに投げて得意分野を見極める「モデル横断の検証」が、今週のような新モデル・新機能が連続するタイミングでは特に有効です。
①狙い:同一プロンプトを複数モデルに通し、モーションと物理表現の違いを比較する。
A paper airplane glides through a sunlit office, weaving between potted plants, and lands gently on a stack of hardcover books. Soft motion blur on the wingtips, natural window light, 3-second continuous shot.
③分解:比較用のベンチマークプロンプトは、動き(weaving, lands gently)と物理現象(motion blur)を具体的な動詞で指定しておくと、モデルごとの得意・不得意(軌道の滑らかさ、着地の重み表現など)が比較しやすくなります。どのモデルで検証したかは必ずメモに残し、次回以降の作例選定にも活かせます。
今週登場した機能の比較表
| 機能・モデル | 何が新しいか | 向いている用途 | 主な仕様・状況 |
|---|---|---|---|
| Kling AI Elements / Element Library | 1〜4枚の画像を個別素材として登録し組み合わせ生成 | 複数キャラ・小道具が絡むシーン、ブランド素材の使い回し | 多角度参照からの人物補完、キャラクター音声の紐付けにも対応 |
| Grok Imagine 1.5(xAI) | 静止画+一文で音声付きの動画を生成するプレビューモデル | 雰囲気カット、SNS向けの短尺ムード動画 | image-to-video専用、API経由でプレビュー提供中 |
| Seedance 2.0(ByteDance) | 既存モデルが4K出力に対応 | 質感重視の商品カットなど静的に近い映像 | 後継のSeedance 2.5はエンタープライズベータ段階 |
| Runway(複数モデル横断) | 1つの画面で他社モデルを含め切り替えて利用 | 同一プロンプトでのモデル比較検証 | Seedance 2.0・Kling 3.0・Seedream 5.0などを掲載 |
主な情報源
- Kling AI Video Character Consistency(公式クイックスタート)
- Kling Element Library User Guide(公式)
- Grok Imagine 1.5 Preview(xAI公式)
- Imagine Overview(xAI Developer Docs)
- ByteDance’s Seedance 2.5 breaks the 30-second barrier(THE DECODER)
- ByteDance unveils Seedance 2.5(TNW)
- Runway | AI Image and Video Generator(公式製品ページ)
サンプルプロンプトは本メディアのオリジナル例です。各モデル・サービスは提供元の規約に従ってご利用ください。生成物の権利・商用条件は各規約をご確認ください。情報は公開時点のもの。収集・要約はAI、公開判断は人。