2026年5月20日にリリースされたCursor 3.5は、クラウドVMで動く「Cloud Agents」の搭載、PR自動レビュー「Bugbot」の強化、スコープ型ルールシステム.cursor/rules/の標準化など、AI IDEとしての機能が一段階進化した。ローカルでの対話型コーディングだけでなく、バックグラウンドで動く非同期エージェントを使いこなすことで、開発ワークフロー全体が変わりつつある。

Cursor 3.5の主な新機能まとめ
| 機能 | 概要 | 利用可能プラン |
|---|---|---|
| Cloud Agents | クラウドVMで動く非同期エージェント。ターミナル・ブラウザ・デスクトップに完全アクセス可能 | Pro以上 |
| 並列エージェント(/best-of-n) | 最大8つのエージェントをgitワークツリーで並行実行し、ベストな結果を選択 | Pro以上 |
| Bugbot強化 | PRをpushする前に/reviewコマンドでBugbot&セキュリティレビューを実行可能に |
全プラン |
| Cloud Subagents(3.7追加) | Agents Window内で/in-cloudコマンドを使い、クラウドサブエージェントを起動 |
Pro以上 |
| Automations強化(3.7追加) | /automateスキルとcomputer-useツールでGitHub issue対応などを自動化 |
Pro以上 |
| Cursor SDK(TypeScript/Python) | エージェントをプログラムから起動・ネストできるSDK。カスタムツール・オートレビューに対応 | API経由 |
Cloud Agentsとは何か
Cursor 3.5の最大の目玉がCloud Agentsだ。従来のCursorはローカルマシン上でエージェントが動いていたが、Cloud Agentsはクラウド上の隔離されたVM(仮想マシン)でエージェントが動作する。開発者はIDEを閉じていてもエージェントが実行を続け、結果をIDEに非同期で返してくれる。
- 複数リポジトリへの並行対応:複数のリポジトリを横断した作業も可能
- フルアクセス環境:ターミナル・ブラウザ・デスクトップ操作まで使えるcloud VMで、Devinに近い水準の自律実行が可能
- /in-cloudコマンド(v3.7〜):Agents Window内から
/in-cloudと打つだけでクラウドサブエージェントを起動できる - ローカル↔クラウドのHandoff:ローカルで始めたタスクをクラウドに移し替え、または逆方向のハンドオフも可能
Bugbotで「プッシュ前レビュー」を習慣にする
BugbotはGitHub PRを自動的にレビューするCursorの機能だが、3.7アップデートでエージェントセッション中に/reviewコマンドで呼び出せるようになった。プッシュ前に一度AIにチェックさせることで、明らかなバグや脆弱性をPRに紛れ込ませるリスクを減らせる。
- コードレビュー:バグ・ロジックエラーの検出
- セキュリティレビュー:注入攻撃・認証不備などの脆弱性スキャン
- 「PRで新しく変わった部分だけをレビュー」するオプションにも対応し、ノイズを削減
.cursor/rules/:チームの「コーディング規約」をAIに覚えさせる
Cursorのルールシステムはかつてはプロジェクトルートの.cursorrulesファイル1枚に全部書いていたが、現在は.cursor/rules/ディレクトリにスコープ付きの.mdcファイルを分割配置する方式が標準になっている。「今やっている作業に関係するルールだけをAIに渡す」設計で、コンテキストの無駄遣いを防ぐ。
4つのアクティベーションモード
- Always:常に全セッションに注入(例:共通スタック指定)
- Auto(description指定):AIが説明文を読んで「関係ある」と判断したとき自動ロード
- Glob(glob指定):特定のファイルパターンに一致したとき(例:
**/*.tsx) - Manual:
@rule-nameで明示的に呼び出したときだけ
.mdcファイルの書き方例
---
description: TypeScriptプロジェクトのimportルール
globs: ["**/*.ts", "**/*.tsx"]
---
- 相対importより絶対import(@/...)を使う
- Reactコンポーネントはnamed exportを使う
- 型定義はinterfaceではなくtypeを優先する
おすすめの分割パターン
| ファイル名(例) | 用途 |
|---|---|
stack.mdc |
言語・フレームワーク・ライブラリ(常時ON) |
imports.mdc |
importパス規約(.ts/.tsx にglob) |
components.mdc |
UIコンポーネント命名・構造規約 |
api.mdc |
APIコール・エラーハンドリング規約 |
testing.mdc |
テスト記述スタイル(Manualで必要時のみ) |
AGENTS.md・CLAUDE.md・.cursor/rulesの使い分け
2026年時点でAIコーディングエージェントの設定ファイルは乱立気味だ。複数ツール比較記事によると、以下のような棲み分けが実務では定着しつつある。
- AGENTS.md(プロジェクトルート):Cursor・Claude Code・GitHub Copilotなど複数ツールが読む「共通仕様書」。スタック・コマンド・命名規約の土台として置く
- .cursor/rules/*.mdc:Cursor固有の細かいルール。glob・descriptionで必要な場面にだけロードされる
- CLAUDE.md:Claude Code専用の3層メモリ構造を使う場合に追加
チームにCursorとClaude Codeを両方使うメンバーがいる場合は、AGENTS.mdをSource of Truthとして置き、ツール固有の細部だけを専用ファイルに書くのがおすすめだ。
Cursor SDKでエージェントを「プログラムから動かす」
Cursor SDK(TypeScript/Python)は2026年6月に大幅アップデートされ、以下が可能になった。
- エージェントの起動・停止・ネストをプログラムから制御
- 自前の関数をエージェントの「ツール」として登録(GitHub Webhookからの自動起動など)
- ローカルツール呼び出しをオートレビューにルーティング(危険なコマンドの誤実行を防止)
- メタデータの永続化先をカスタマイズ(自前のDBへ)
GitHub issueを受け取ったら自動でエージェントが実装してPRを出す、といった「fire-and-forget」ワークフローが構築できるようになった。
Cursorのライバルとの比較(2026年6月時点)
| 観点 | Cursor 3.5 | Windsurf | Claude Code 2.1 |
|---|---|---|---|
| UIスタイル | VS Codeフォーク(IDE中心) | JetBrains等40+IDE対応 | ターミナル中心 |
| 非同期エージェント | Cloud Agents(VM) | Background Tasks | なし(セッション内のみ) |
| ルール管理 | .cursor/rules/*.mdc | AGENTS.md主体 | CLAUDE.md/Skills |
| コード品質スコア | SWE-bench水準(IDE内) | 同水準 | 80.8%(SWE-bench Verified) |
| 向いている用途 | IDE操作+大規模自動化 | マルチIDE・軽量起動 | ターミナル派・精度重視 |
今日から使えるTips 5選
- .cursor/rules/stack.mdc を作る:プロジェクトのスタック・命名規約を書くだけで、毎回「TypeScript使って」と言わなくて済む
- push前に
/reviewを走らせる:Bugbotが30秒でバグ・脆弱性をチェック。レビュアーへの礼儀でもある - 長時間タスクはCloud Agentsに任せる:「このAPIを全ページ対応にして」など数十分かかる作業はCloud Agentsに渡して、その間別の作業ができる
- 並列エージェント(/best-of-n)で試行回数を増やす:難しいバグは複数エージェントに同時解かせてベストを選ぶ
- AGENTS.mdをリポジトリルートに置く:CursorだけでなくClaude Codeや将来のツールにも共通して読まれる「チームの規約書」になる
主な情報源
- Cursor 公式 Changelog
- Cursor 3.5 IDE Guide: Cloud Agents, Composer 2.5, Pricing (2026) — Codersera
- Cursor Rules: Write .cursor/rules That Work (2026) — TECHSY
- Cursor Rules: How to Write .cursorrules and .mdc Files — Blink Blog
- What Is Cursor IDE? Features, Agents, and Limits — Verdent AI
- Windsurf vs Cursor 2026 — Verdent AI
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